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2007/01/04 往復機内で見た映画の感想など

年末の日本旅行雑感編として、UAの往復機内で見た映画の感想など。

「レディ・イン・ザ・ウォーター」

公開されたのはもうだいぶ前という気がしたな。監督は、「シックス・センス」で衝撃的なデビューを飾ったM・ナイト・シャマラン。第二作の「アンブレイカブル」を見て、少なくとも一発屋ではないと評価したが、結果的には、1.5発屋くらいの監督だったかもしれない。

サスペンスを盛り上げる画面の構成などは巧みで、印象的なショットは多々ある。しかし、行き当たりばったりのストーリーには少々ガックリ。自分の子供相手に話してやったベッドタイム・ストーリーがベースだと、しきりに監督は言ってるのだが、お金を取って大人向けに公開している以上、ベッドタイム・ストーリーであることが作品のつまらなさの言い訳にはならない。監督自らが自作にカメオ出演するのも彼の作品のお約束ではあるのだが、今回の出演時間は洒落の限度を超えている。ディズニーとの監督専属契約は打ち切りになったのだそうだが、この作品見れば確かに納得行くような。


「パイレーツ・オブ・カリビアン〜デッドマンズ・チェスト」

なんだか、説明不足でよく分からん部分があるなと思ってたら、これは第二作だったのだそうで。そういえば、ちょっと前にも、同じジョニー・デップで海賊物やってたが、続編だったのか。いわゆるディズニーの「カリブの海賊」が根底のモティーフだが、SFXを駆使した幽霊船の描写、タコ船長、海の魔物クラーケンやらアクション・シーンなど、どれもなかなかよくできている。しかしまあ、第一作見てないからか、結構意味不明の部分が多かった。

「ダ・ヴィンチ・コード」

個人的には原作読んでたから、一応理解できたが、テンプル騎士団、エルサレム・ソロモン神殿遺跡で発見した隠された至宝、マグダラのマリアとイエスの血脈、ダゴベルト2世とメロヴィング朝、隠された聖杯、などの「トンデモ」系知識がなければ、結構何の話なのか分からないのでは。原作にしても、「レンヌ・ル・シャトーの謎」くらい読んでなければ、なかなかついてゆけない部分あり。ストーリーそのものは原作に大変忠実に作られている。

映画のラスト、星辰の下、パリ、ルーブルのピラミッド下に眠るマグダラのマリアをラングドン教授が幻視するシーンは、なかなか印象的に成立している。しかし、いずれにせよ、アメリカ人のヨーロッパ観光ガイドのようなお話であるから、もっと観光ガイド風に撮影してもよかったと思うが。

Invincible

これは日本では公開されてないのだろうか。職を失い、妻にも去られ、バーテンダーとして暮らす、NFL、フィラデルフィア・イーグルス・ファンの男。そんな時、イーグルスの新監督が、チームの人気集めのために、誰でも参加できる新メンバー募集のトライアウトを開催する。それを受験し、なんと合格した男は、先輩プロ達からの冷たい視線にもめげずに最終選抜まで残り、ついにNFLのレギュラー・シーズン・ゲームにまで出場するという、一種のアメリカン・ドリームを描いたもの。これは実話に基づくものなのだそうで、実際にモデルになったアマチュアはNFLで3シーズン出場したのだという。演出がなかなかツボを押さえており、意外に面白かった。

The Queen

元皇太子妃ダイアナの突然の事故死にあたって、エリザベス女王を初めとする英国王室は、当初完全な黙殺を決め込み、英国民からの大きな非難を受ける。これは、英国新首相に就任したばかりだったブレアが、ダイアナの死を巡って、政府、王室がどのようにそれに対応するかを検討し、英国民の感情と、伝統を重視する王室との板挟みになりつつも、最善の策を取ろうと努力する姿と、君主としての責任を全うしようとするエリザベス女王とのかかわりを描いたドラマ。

一種、王室の中を覗き見するような好奇心を満足させてくれる部分が興味深い。エリザベス2世役の女優は、なかなかのはまり役。その夫、エジンバラ公フィリップも面白い。彼は女王の夫ではあるが、何の決断も求められず、責任もない立場。首相との電話より紅茶が冷めるのを気にしたり、母親が亡くなりショックを受けている孫達について、「まあ、鹿でも撃てば気がまぎれるさ」など、まさに浮世離れした貴族的趣味にあふれる能天気ぶりを発揮。描かれたこの王室の素顔がどこまで本当かどうか知らないけれど、一面のリアルさを感じて面白い。

Wikipediaで調べると、本物のエジンバラ公も、海外訪問時などに、偏見や人種差別ととられかねないおバカで能天気な失言を連発している人物のようだ。オーストラリア原住民には、「まだ槍を投げてますか」。パプア・ニューギニアのイギリス人学生に会っては、「なんとか食われずにここまで来たね」。スコットランドの自動車教習所教官には、「地元の人間がテスト受ける間、いったいどうやって大酒を飲まないようにしておけるんだね」。贈り物を差し出したケニアの女性には、「あなたは女ですよね」と聞いた、などなど。

まあ、しかし、こんなエジンバラ公の言動のみならず、ダイアナ妃やチャールズ皇太子などの行状も考え合わせると、日本の皇室がみんな実に行儀がよく、教養があって真面目で、品行方正だということがよく分かるのであった。