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2005/11/06 女系天皇容認に反対 / 靖国と天皇制のイリュージョン 

金曜は出勤。三笠宮寛仁ヒゲの殿下が、従来の男系男子の皇位継承を支持し女性・女系天皇容認論に疑問をはさむ文章を、福祉団体の会報に掲載したとのニュース。

首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は、先日、臣籍降下した旧宮家の復活シナリオを除外することを決めたと報道された。そして事実上、皇室の男系男子相続に終止符を打つ、「女性・女系天皇容認」の結論を月内にもまとめるのだという。

皇室や皇位は、憲法や皇室典範によって「象徴」と定められた地位であるから普通の家族体とはまた別で、その皇位継承について皇族自身の意向が重要とは思わない。しかし、彼らにも言論の自由があるからして、自らの立場や親戚の取扱いについて個人的意見を述べること自体に別段何の不都合もなかろう。

考えれば、ヒゲの殿下の懸念も、確かにもっともな話。「本当に女帝を認めてもいいのか」でも触れたが、こんなにあっけなく千数百年続いた「男系男子相続」の伝統を変えてしまってよいのだろうか。国民の大半がそれでよいという結果なら納得するが、もう少し議論しなくてよいのか、実に疑問な気がするがねえ。女帝を認めることと、女系相続を可として男系男子相続を破棄することの違いが、世間にどれだけ衆知されているのか、それについてもちょっと疑問あり。

もうひとつ不思議なのは、「靖国問題」になると、「A級戦犯合祀は正当だ!」、「東京裁判は無効だ!」、「靖国を国家によって護持せよ!」と目を三角にする人々が、必ずしもこの女系による皇位継承について問題視しているような気配があまり感じられないこと。

「靖国」という「装置」は、「お国のために死んだ英霊はここに戻ってきて国家がきちんと顕彰する。だから安心して死になさい」というメッセージを発信し、富国強兵の国策を補強するイリュージョンとして存在した。しかし、たかだか明治に出来たその幻影を今でも強固に信ずるのなら、(皇紀2千何百年はいくらなんでも無茶にせよ)少なくとも千数百年は続いている天皇家万世一系というイリュージョンのほうをもっと大事にすべきだというのが個人的意見である。同じく虚像だとしても、こちらのほうがずっと伝統があり、日本の歴史の根幹として横たわっているのだ。天皇家を捨て去るのなら、靖国も一緒に捨て去ってよかろうと思うのだが。ま、軍国主義の悪夢と共に存在した「万世一系」や「神国ニッポン」、そして「皇紀2千何百年」という言葉まで亡霊のように復活すると、確かに「引く」のは事実だが。