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2005/09/17 「隠された十字架〜法隆寺論」

帰宅してから、「隠された十字架〜法隆寺論」(梅原猛/新潮社)を読み進める。最初に読んだのはもう10年以上前。いわゆる、「梅原日本学」を打ち立てた記念碑的作品。 「大和朝廷の起源〜邪馬台国の東遷と神武東征伝承」を読んでから、また日本古代史づいている。梅原の、芝居がかった大時代的レトリックは少々気になるものの、読んで実に面白い。法隆寺は殺された聖徳太子鎮魂のための呪術的建築であったという仮説を次々と明快に立証してゆく。夢殿救世観音の光背が釘で頭に打ちつけてあるという部分は、今読んでも背筋が寒くなる。これが事実なのかどうか、おそらくもう証明するすべはない。しかし、梅原猛が見た幻視だとしても、十分説得力を持って成立しているところが素晴らしいのだ。