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2006/01/03 お正月休み最終日、本年最初の「新ばし 笹田」

夜は、本年最初の「新ばし 笹田」。

開店して初めての正月だが、「しみづ」親方の勧めで新年3日からの営業。まず生ビールなどもらって、昨年末、修行店「京味」におせちの助っ人に行った時の話などご主人から伺う。36時間不眠不休で作業するというのだから凄い。新年にあたり、和食の伝統を店で代々に継承する一種の儀式的仕事でもあるだろう。年一回、一種の「神事」といっても過言ではないかもしれない。それは、普通の家庭で奥さんが一所懸命作るおせちにも言えることだが。大晦日の夜に帰宅した時には疲れ果てて、なんだか顔が一回り小さくなってた気がしましたと、これは奥さんの弁。

本日はもう一組入ってたのだがキャンセルになり、あともう一組入るかもしれないとのこと。早い時間は私一人。確かに寿司屋なら正月から人が来るが、和食はちと厳しいか。「最多来店記録」氏と同席した忘年会の話やら、新春営業の話、クエとアラの話など雑談。本日夜遅くには、新春営業終えた「しみづ」一行が新年会に来訪するとか。

まず、白味噌のお雑煮。実家は昔から白味噌で餅を煮る雑煮だったので違和感なし。大根、人参、海老芋などもしみじみ美味い。カモのロース薄切り。これまたお酒に合う味で実に結構。壱岐というクエのアラ炊きは醤油味だが、上品な脂。赤ムツ味噌漬けは串で炙って。脂の乗った身肉に味が回り、これまた実に美味く酒が進む。

正月とはいえお造りもある。クエは昆布〆。細かく包丁を入れたアオリイカはネットリした甘みあり。マグロ中トロ。小さな完熟トマトにオイルをかけて凌ぎに。これも変わった趣向で美味い。

最後は、カウンタにカセットコンロ置いて、小さな土鍋でスッポン鍋。以前、上司と一緒の接待数名で有楽町某ビルの高そうな和食店に行き、個室でスッポン鍋など食した事あるが、感動するほど美味くなかった。しかし今夜の鍋は実に滋味深い。黄色い脂が浮くのにむしろアッサリした味、脂は淡白なのだが深い旨みが舌に届く。スッポンの味というのも実に面白い。

その昔、今は亡き映画評論家の荻昌弘が、京都「大市」のスッポン鍋を「天下の美味」と称していたが、それも頷ける。もっとも血気盛んな若者ならば、白濁したスープの博多風鳥の水炊きや、濃厚なラーメンスープを絶賛するのかもしれないが。いったん鍋を引いて作る雑炊も、たっぷり溶いた玉子をフンワリと鍋の上で柔らかく固める家庭とは違う贅沢雑炊で、これまた結構。炊き立てのプレインな御飯もよいが、雑炊も素晴らしい。白玉の入った冷製ぜんざいを煎茶で頂いてお勘定。

元旦は、金沢「金茶楼」のおせちなど食して美味かったが、正月3日目からカウンタできちんとした板前さんが作る和食を頂くのも実に結構。

明日から仕事。休みも短かったなあ。