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2007/03/26 しみづ訪問 / つかさ

しばし更新をお休みしたのは、先週の木曜、金曜と打ち合わせがあり、日本に出張してたから。その間の出来事を備忘のために思い出すままに。


(「しみづ」訪問)

仕事を終えた週末、土曜の夜に「しみづ」訪問。埼玉のAご夫妻、最多来訪記録F氏と同席。F氏は昨年大記録を打ち立てたのだが、今年は更なる記録更新を目指す勢いだとか。

お通しはホタルイカ。お酒を常温でもらいツマミから初めてもらう。本日の白身はタイ。鳴門だとか。アメリカの日本飯屋で出る養殖のタイは、まずベットリと舌にラードのような脂がからむ。このタイは実に上品な脂、軽い甘みと香りが鼻に抜けてゆく。サヨリは小口に切って生姜醤油で。平貝もアメリカではとんとお目にかからないが、炙ってから大振りに切ってもらうと、かみ締める稠密な繊維の中にある旨味が素晴らしいのだ。

トリ貝は買ってはいるものの、まだ納得ゆかずほとんど賄い行きだとか。いつも使ってる大型で肉厚のが出るのはもう少し先。タコも身肉に旨味が無くなり、しばしお休みとのこと。何が置いてあるかより、何を置いてないかに店の仕入れにかける情熱が伺える気がする。

オレンジに輝く青柳。小柱はあっても、この店で青柳が出るのは実に珍しい。独特の癖があるのだが、その香りと歯応えがよい。最近、江戸前でもずいぶん良品が出ているのだとか。小柱もその後で。同じ貝の違う部分とは思えないほどだが、塩で頂くと甘みが更に増す。アジは肉厚の立派なもの。子持ちヤリイカの煮付け、漬け込みのハマグリも実に懐かしい旨味。赤貝はむろきゅうりの小口切りと合わせて。ウニもつまみで貰い、お酒をフィニッシュ。

お茶に切り替えて握りを。マグロは脂の具合を変えて3貫。塩と酢のしっかり効いた酢飯に実によく合う。コハダを2貫。旨味を閉じ込めたしっかりしたこの〆は一度食べると癖になる。カスゴを1。これはホロホロと崩れるような身肉の旨味。アナゴ2の後、昨年から薄焼きに変えた玉子を1。玉子は、ここの酢飯にはこのほうが合うだろう。アナゴはいつものとろけるような食感にやや欠けた。まあ、悪い時期なのかもしれない。最後はいつものカンピョウ巻で〆。すっかり長居してしまった。

(「しみづ」の太巻きを機内で)

日曜はフライトの時刻からすると11時には東京を出発しなければならない。そんな話を土曜の訪問時にしていると、親方が日曜10時過ぎに店に寄ってくださいと。ホテルをチェックアウトした後、立ち寄って太巻きをお土産に頂く。営業時間外に店を覗いたのは初めてだが、親方が先頭に立ち、仕込みに大車輪。実に忙しそうだ。

日本からアメリカへの機内で「しみづ」の太巻きを。しっかりした酢飯をベースに、仕事を施した種が満艦飾。そうそう、これがしみづの酢飯だったなと、昨晩食べたものがフラッシュバックする。レクター博士は「ハンニバル」の中で、警察の追及を逃れ欧州からアメリカへの機上、エコノミー座席に、フォションに誂えさせたランチボックスを持ち込んだ。まあ、日本人ならフォションのランチボックスより絶対に「しみづ」の太巻きですな。確かレクター博士は、隣にいたガキにじゃまされ、せっかくのランチボックスを食えなかったんではなかったか。私のほうは邪魔が入らなくてよかった。はは。


(築地「つかさ」)

そうそう、「つかさ」にも寄ったのであった。日本到着のその日は、フライトが遅れると迷惑かけるので、どこにも夜の予約は事前に入れていない。しかし飛行は順調で成田には定刻に到着。しばし考慮して、空港から築地「つかさ」に電話。名前を告げると、相変わらず快活で腰の低い親方が、「いや〜お元気ですか、大丈夫です、どうぞどうぞ」と。

都内まで移動してホテルに荷物入れてからタクシーで。なんたる偶然か、フジタ水産の藤田さんがカウンタにおられたので、久しぶりのご挨拶。なぜ遅くまでと思ったら翌日が休市日であった。最近よいマグロがなかなか無いとのこと。「だから、ここのマグロ脳天スモークも大好きだけど、遠慮して追加注文するのを止めてるんです」と。次回の来日時には、是非、お店と市場を見学させてもらって、朝から市場でご一緒して飲みたいもんである。面白いだろうなあ。最近の築地市場は、外国人の観光客にも大人気だという。

お酒は常温。ツマミをいただく。ヒラメは上品な脂で旨味あり。トリ貝、サヨリはやはり春を感じる種。トコブシ塩蒸し、タコ桜煮。店の名物、マグロ脳天スモークはワサビ添えで。アナゴはツマミ用の塩焼き、車海老は茹でたてを。お酒も結構飲んで割と酩酊。魚はやはり日本に限る。適当なところで握りも親方にまかせて。相変わらずスッキリした酢飯が種にマッチして実に美味い。スミイカ、コハダ、赤身、中トロ、アジ、ウニ、アナゴなどなど、日本の寿司を堪能。最後はいつもの鉄火巻き。マグロの香りと酸味が、ここの酢飯と海苔に実によく合う。