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2005/03/30 鎌倉 鮨「以ず美」

日曜日は鎌倉を案内。案内とはいえ、私だってずいぶん前に一度来たことがあるだけ。もうほとんど記憶が残っていない。北鎌倉で降りて、円覚寺、明月院。コンクリートだらけの東京では花粉がかなわんが、北鎌倉の杉木立の中では気にならないのが不思議。

午後から鎌倉に移動して、鶴岡八幡、源頼朝の墓、長谷大仏、長谷観音、極楽寺などブラブラと巡る。静謐できれいにまとまり落ち着いた場所。ただ、幕府があったとはいえ、奈良や京都のような古き都(みやこ)という雰囲気はないのだな。

長谷の大仏はあっけらかんと陽光を浴びて初春の青空の下に座す。大仏殿は、昔の海潮被害で倒壊した由。海岸線まではかなりあるように感じるが、津波だろうか。長谷寺の境内からは鎌倉の海が一望に。光がきらめくのどかな海にはヨットやらモーターボートやらが浮かぶ。こんな場所に住むのもよいなあ。



夜は長谷、「以ず美」で寿司。雑誌などで時折紹介されている鎌倉の名店。もちろん訪問は初めて。分厚い一枚板に漆を塗った黒いカウンタ。眼光鋭くイナセな親方の服装も黒。少々変わった雰囲気だが、店に漂う凛とした空気はきちんとした寿司屋に共通するもの。

日本酒は燗で。ツマミは、ツブ貝と山葵茎の煮付け、アン肝岩塩添え、サヨリ皮焼き、タコの卵煮付け、バイ貝、ヤリイカ煮付けなど。寿司種を切って出すのではなく、酒肴として煮炊きしたものばかりだが、これがどれも実に美味い。

この辺で握りに。白身はヒラメとグジ。どちらも昆布〆。軽く乗った昆布の香りが白身の精妙な旨みをよく引き出している。白イカ、コハダ。淡路の釣りだというアジは昆布〆で。珍しいがこれが美味い。赤身ヅケはネットリと旨みが凝縮して結構。大トロも続けて。戸井のマグロだとか。玉子をはさんで、九州天然の車エビ、赤貝。明石のタコは切り付けているうちから席に香りが届く。柔らかく旨みにあふれた身。まだウニやらアナゴが続く模様であったが、時間の制約あり、この辺でおしまいにしてもらった。

丁寧な仕事ぶりがされた寿司種はどれも上質。しかし、これでもかと押してくるようなクドイ脂や旨みではなく、程よく品のよい美味さ。やや軽めの酢飯が種と合っている。値段もリーズナブルで店の居心地もよい。近くにあったら是非とも通いたいよい店であるが、当然ながらすでに地元のよい客が常連となってしっかりとついているのだろう。この夜も満席の盛況であった。