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2005/03/13 横浜関内、「はま田」再訪。  

日曜のお昼に横浜関内まで遠征。先月訪問した「鮨 はま田」を再訪。電話で名前を告げると親方はちゃんと覚えていてくれたのに感心。普段は夜だけの営業だが、日曜だけはお昼に開店して5時に店を閉めるのだとか。先月開店したばかりで、まだ休みなしの営業。

お昼ちょうどに入店すると、お客さんは他に女性1名のみ。平日夜は結構お客さんが入っているそうだが、なぜか本日は空いている。確かにこの関内近辺は、日曜は閑散としている。

休日でもあるし、常温で「白鷹」を貰い軽く一杯。まずツマミを。カウンタそのものは、前の「次郎よこはま」のものを使っているのだが、白木の種箱や酢飯を入れる木の櫃、それを保温する藁櫃は新調でまだ新しく、清々しい新店の雰囲気が残っている。余裕ができたら少しずつ店を変えてゆきたいと親方の弁。築地「つかさ」の親方も修行時代からよく知っているとのことで、あれこれ雑談。

お通しは空豆。白身はマコカレイ。脂はヒラメより軽いが上質で独特の春の香り。アワビ塩蒸しは三重のマダカ。最盛期は夏だが柔らかく煮上がって香りもよい。タコ桜煮は修行した「青木」伝来の仕事なのだそうだが、独特の風味があって美味い。ミルひもは軽く煮切りを塗って炙る。これまた美味し。お酒は2本で終了。お茶に切り替えて握りをおまかせで。

マグロ赤身、中トロ。どれもシットリと旨味あり。スミイカ、アジ、コハダ、カスゴ、サヨリ。どれも結構。平貝は軽く炙って海苔を挟む。赤貝は香りよし。エビは茹で立てを。ウニは軍艦巻き。柔らかくあがったハマグリはツメで。アナゴの煮上げはやや甘口だがフックラして脂あり。最後に玉子。ムースのようななめらかな感触。

煮切りはずいぶんシャープな味。寿司種本来の持ち味を生かすため味醂はほとんど使わず甘さを押さえているとのこと。酢飯はやや濃い目の味付け。酢飯の好みは百人百様で正解などないが、ここの寿司種にはこの酢飯がよく合う。もっとも、この辺はこれから更に思考錯誤と客に合わせた微調整が進むはず。親方の言葉の端々にも真摯な模索が伺える。雇われの職人なら気楽だが、自分の店を経営する立場になると、これからあれこれ考えることが多いだろう。そしてあれこれ考えた末の選択が店の個性を作り、その店にしか無い「何か」を求めて固定客がつくようになるのだ。

まだ若く快活な親方で、たとえ一見でも居心地は悪くないだろう。仕入先の選定でも、なるべく修行先とは違うところを選んで独自性を出そうとするなど研究熱心。品物や仕事への妥協を許さない真面目な姿勢と熱意は、雑談していても十分伝わってくる。奥さんも、明るく真面目な接客で好印象。この店は、きっとよい店になる。そんな確かな、そして楽しみな予感のする再訪であった。