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2005/02/19 横浜関内、「鮨 はま田」訪問。

風邪気味だったり所用があったりしてしばらく更新ストップ。しかしようやく週末。ボチボチと追記でもするか。

月曜夜は仕事を終えてから、東海道線、京浜東北線を乗り継いで横浜関内まで。平日の7時代でも結構電車は混んでいる。こちら方面には普段来ることはないのだが、一緒に行きませんかとお誘いを受けて、新しく開店した「鮨 はま田」を初訪問。

店は、銀座に移転した元「次郎よこはま店」があった同じ場所。銀座「青木」で修行した浜田剛氏が独立して、自らの店「はま田」をこの2月から開店させた訳である。今月号の「東京カレンダー」にも店が紹介されている。新しい寿司屋の訪問は実に久しぶり。

壁紙と天井は張替え、椅子も新調したとのことだが、朱色のカウンタは以前、何かの雑誌で見た「次郎よこはま」のまま。来た事なかったが、そうか、こういうカウンタだったのかと妙な感慨あり。このカウンタがなかなか面白い形。張り出した手前が両側に座れるテーブル風になっており、4名で座ると、黒塗りの台に乗せられてツマミや握りが運ばれてくる。

一国一城の主となった浜田親方は、まだ29歳。真面目そうだが内に秘めた強い意志も感じさせる好青年。奥さんもまだ慣れないところは覗えるものの、明るく一生懸命で実に好感が持てる。銀座「青木」で修行10年。寿司屋でもない我々シロウトが修行経験どうのこうのと語ることに何の意味もないが、神保町「鶴八」の先代、師岡親方が「柳橋美家古」で修行したのが6年程度。神保町に店を持ったのが29歳の頃と本にあるから、職人として修行が足りないなんてことはあるまい。

お酒を常温で。白鷹純米だったか。器もよい。ツマミをおまかせで。ヒラメはネットリした旨みがあって実によい。タコは煮上げに独特の風味あり。塩蒸しのアワビも香りがよい。平貝は軽く炙って。ヤリイカ煮付け。中トロをツマミで。シットリ柔らかで旨みにあふれている。確かに新橋「しみづ」と同じ「フジタ水産」だと分かるマグロである。アワビ肝も酒のアテに結構。

適当なところで握りもおまかせで。マグロは、赤身と中トロ。これまた実に美味い。スミイカもパキパキ感の中にネットリした旨みあり。コハダ、サバなど光り物の〆具合も結構。茹で上げたばかりの車エビ、ウニ、ハマグリ、アナゴ、鉄火巻、カンピョウ巻などもらい、最後にふんわりと焼きあがった玉子。どれも美味かった。

ただ、浜田氏自身が握りながら少々気にしていたのが酢飯の温度。くどくないスッキリした味付けだが、確かに温度はやや低くなりすぎていたかもしれない。酢飯は木の桶に入れて藁櫃で保温。ジャーに比べると確かに温度管理は難しいだろう。

雇われの時は、親方の店で親方の考え通り親方のペースでやっておればよかった。しかし独立してからは場所も設備もお客も変わる。忙しさのピークも違うし、どんなお客がつくかによって店の営業方針も仕入れも考え直さなくてはいけない場合もあるだろう。教わった通りやっていては、逆に教わったことが実現できないというジレンマ。「自分の店」を作ってゆく終り無い思考錯誤と工夫は始まったばかり。

寿司種はよい品物を厳選していることが分かる。親方も仕事熱心。新しい店だから一見で行っても何の嫌な思いもすることはないはず。軌道に乗るまで当面は休みなしで営業とのこと。横浜は遠いのだが、しばらくしたらまた訪問してみたい。横浜関内、「はま田」。新たな船出を寿ぎ、これからの航海の順調を祈りたい店である。