MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2004/01/12 「與兵衛」 

日曜夜は本年2軒目の寿司巡回。西大島「與兵衛」。駅から店の途中にある焼肉屋は満員の盛況。米国BSEは、日本の焼肉店にはあんまり影響ないなあ。

カウンタに座り、今年もよろしくと親方に挨拶。最初のお酒は、新年を寿ぎ「開運」。名前が縁起よい。お椀で出てきたのは暖かい牡蠣のスープ。普通の牡蠣の煮びたしにはない複雑な出汁。ヒラメやシマアジのアラから取った出汁に、隠し味でニンニクを入れ、牡蠣を毎日炊いたものを継ぎ足しているのだとか。これが実に美味い。

2品目はマグロ血合いのコーヒー煮。コーヒーの苦味が不思議と血合いのクセと生臭さを消し、後味を爽やかな素晴らしいものにしている。日本酒と合うのが不思議。しかし、酢飯とは合わないような。あくまでもツマミ用か。この店のスペシャリテとして有名な一品だが、そういつも作るものではないようで、食したのはこれが多分2度目。

十四代本丸に切り替えて、いつものツキダシ。シャコ煮漬し、ホタテのヅケ、海老頭煮、イカ耳のヅケ、平貝ヒモ、マグロ中トロ炙りヅケなどが一皿に。3杯目は九平次にして、コハダ、イワシ炙り、ヒラメ縁側甘酢ヅケをツマミで。一般にイワシの旬は夏と言われるが、品物と漁場を選べば酢〆にして美味いものがあるとのこと。確かに脂が酢と渾然一体となって素晴らしい。お酒はこれで打ち止め。おまかせで握りを所望。ここのお茶はいつもながら妙に美味い。

マグロヅケはマグロの渋みを残しつつあくまでネットリ。舌にからみつく美味さ。ヒラメは甘酢ヅケと胡麻タレヅケを1貫づつ。スミイカは軽く醤油にくぐらせて。薄切りを3枚重ねて握るシマアジは焼き霜にした皮目が実に香ばしい。

海老、平貝ヅケと出てから、コハダ、サヨリ、サバ、イワシと光り物4連。それぞれに〆具合が違い、どれもしみじみと美味い。酢飯の具合も固目であるが、それがこの店の種によく合っている。ハマグリ、アナゴと煮物を。ここのツメは古式を残す濃い目のものだが、くどさや嫌な風味がまったくないのがいつもながら不思議。最後に玉子で〆。さすがに海苔巻までは辿りつかなかった。遠方より渡来する「寿司の求道僧」氏は、本日も遅い時間にひとりで来店。お客を通い詰めさせる素晴らしい技が、この店にはやはりある。