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2003/12/12 「新橋鶴八」

昨日は予想外に仕事が早く終わった。6時半頃に会社を出たが、思いついて「新橋鶴八」に電話。カウンタが空いてたのでさっそく入店。

菊正の冷。つきだしはイカ塩辛。ここの塩辛はネットリと濃い旨み。酒によく合う。親方に年末年始の営業を確認すると、12月は最後の日曜28日も休まずに30日まで営業。30日は午後のお休みを取らずに通しで営業するとか。

新年1月は長い休みで23日から営業。正月明けに店内を大幅改装する工事のため。壁を張り替え、20年以上使った冷蔵庫も交換、玄関も改造するとか。ただし、使い込んだつけ台はこのまま。これは国産の一枚板で、まるでニス塗ったように見えるのだが、もともとは白木。使ううちに魚の脂が染み込んでこういう色になったのだと言う。

「もう歳だし、これが多分最後の店の改装ですよ」と親方。「いやいや、『すきやばし』の年齢まで、あと20年頑張ってやってもらわないと」と言うと笑いながら、「でも、うちの家系は短命だからなあ」と。寿司食いながら何を会話しているのやら。ま、考えて見ると、『すきやばし』もよくもあそこまで元気で。先週、立派な写真入りの本まで出た。人間国宝級である。はは。

ツマミでヒラメ。ここの白身も、いつも大きく立派な身を分厚く切ってくる。旨み十分。次に塩蒸し。種札に見たのは久々。切りつけている時から香りが立つ。時期外れではあるが、この店は置いてある種についてはどれも間違いがない。日本海のブリは20キロあったとか。これまた上質で上品な脂。ここの親方のそのまた師匠が書いた、「神田鶴八すしばなし」は文庫本になって結構売れてるらしい。

適当な按配でお茶にして握り。まず中トロ。「鮨を極める」では、ここの石丸親方が「マグロを自慢する寿司屋にはなりたくありません」と語っている。どこよりも素晴らしいとは言わないが、町場の普通の寿司屋に比すればずっと上等で真っ当なマグロ。コハダは相変わらずキッチリした仕事。ネットリして光り物の旨み満載。あっさりとした酢飯と実によく合う。とろけるアナゴも素晴らしい。ハマグリのお吸い物をすすりつつ、これまた美味いカンピョウ巻で〆。勘定をして店を出る際、店の若い衆が追いかけてきて、「お歳暮です」とお皿を頂く。もうそんな時期だ。年の過ぎるのは早い。