MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2003/11/01 中野坂上「さわ田」訪問。

昨日の朝、無事日本帰着。カンタスの飛行機は座席間が狭く設備も古いが、パース・東京便は夜10時出発で朝の9時到着。ほとんど寝てくるだけだからあんまり関係ないか。

スーツケースを宅急便に託したが、昨日の4時には部屋まで届く。早いもんだな。

午後はのんびり休息。夕方から中野坂上まで。「さわ田」訪問。1ヶ月半ぶりか。外国から帰国した時の寿司屋第一弾は「しみづ」に決めているのだが、今回は「さわ田」に入れた前の予約がたまたま昨日だったのであった。

時間とおり入店。つけ台には、手で寿司を食べる人のために手拭が常備された。改装した店の作りと共に、なんとなく「あら輝」を思わせる。麒麟山を常温で飲みつつすべておまかせで。つきだしのイクラは皮まで口中で溶ける爽やかな美味さ。

フジタ水産・大間マグロツアーのことなど聞きながら、ツマミはいつも通りまず白身から。マグロ釣り船にも実際に乗ったとのこと。ヒラメはまだ脂が薄い気がするが上品な旨み。タイは背の部分と湯引きした皮のついた腹側と両方。脂が乗って旨みも十分。まだもう少し熟成したほうが美味いとのことだが、白木の氷蔵庫から出した身は立派な飴色。ヒラメ縁側も美味い。九州のアラは皮目を軽く焼き霜にして。6キロあったそうで、本来ならもう少し日数を置いたほうが旨みが出てくる種。しかし身は実に上質。

醤油以外に塩の小皿も供される。私は刺身に柑橘類を絞らないので、ちゃんと覚えていて私にはスダチを添えてこない。しかし人間というのは勝手なもので、隣が絞ってるとなんとなくかけたくなるんだなあ。ははは。

三陸のトコブシはアワビ同様大きく切りつけてゴロンとしたのを手掴みで。アワビに比較すると香りは薄く旨みも軽い気がするがこれはこれで品のよいまとまった味。カツオは、昔と比べるとスモークの具合が落ちついてきた。三陸の戻りカツオだが、しみじみ美味い。望めば生のニンニクスライスを付けてくれる。これはこれで美味いのは知っているが、生のニンニクはずっと口中に残るので私はパス。生の白魚は実に新鮮でサッパリしている。

酢〆のサバは一切れを生で。後は炭火で皮目を軽く炙って供する。脂よりも旨みが勝った上質なサバ。平貝を炙るうちに電話がかかり、最初のは焦げて失敗。一人ですべて仕切る店もなかなか大変。2つ目を炙って七味をかけて。平貝もそろそろ季節だ。

北寄貝も炭火で軽く炙って。久々の寿司で酒が進む。ウニは小さな器に入れてスプーンと共に供される。西日本特有のハガキ大の小さな箱入りの小粒のウニはそろそろシーズン終わりなのだろう。ウニがつかってるのは出汁かと思ったら、単なる深層海洋水なのだそうだ。しかしこの汁には複雑な滋味がある。先週の大間だというトロの炙りは、5人分でちょうど牛ステーキ1枚分相当。炭火で軽く炙って供する。本来ならもう少し熟成したほうもっと柔らかくなるだろうが、このままでも十分美味い。

お茶に切り替えて握りを。スミイカは甘味とパキパキした食感が最高。ヒラマサは軽い脂。ヒラメ昆布〆はかすかな昆布の風味がヒラメの上品な味わいを十分に引きたてている。ここからは大間のマグロが連発で。大トロやら即席のヅケも取り混ぜて5貫くらいか。どれも柔らかくシットリとした上品な旨み。今日の酢飯は、いつもより塩と酢が効いており、なんだかまるで「あら輝」のよう。フジタ水産のマグロを「あら輝」の酢飯で食うとある意味最強ではないかと思っていたが、すでに中野坂上でそれが実現しているような。実によくマグロに合う。

小柱は海苔の風味よし。1匹丸づけのコハダは1週間程度寝かしたとのこと。酢が枯れてコハダの肉の旨みとオボロが際立つ。車海老はいつも通り茹でたてを。尾の部分には特製の海老ペーストをはさんで。ハマグリはやや身が固い感じたが、アナゴはすっきりしたツメと合ってなかなか結構。玉子も一時のように山芋の風味だけが際立つということがなく美味い。ツマミも握りも普段より多く、最後には苦しいほど満腹に。

勘定は高くなったと噂で聞くが、最初に訪問した時とほとんど変わらない。ちょうど大吟醸を飲んだ時の「與兵衛」と同じくらいか。どこかの名店の伝統をそのまま引き継いでいるのではなく、寿司屋仕事にはまだ変化や思考錯誤も感じられるが、親方の努力の程がわかる実に優れた店である。満ち足りた気分で中野坂上の駅まで。銀座で降りてタクシー帰宅。