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2003/08/17 お盆でも「しみづ」巡回。

土曜日の夜は、「しみづ」巡回。2年前の8月18日が、初めてこの店を訪問した日。それからほとんど週1回のペースで訪問してるから、考えてみるとよく通った。払った金に見合う、いやそれ以上を、コンスタントにキッチリと与え続けてくれる店でもある。

よい寿司屋のどこかをホームグラウンドにして、そこを定点観測しながらあちこちを訪問すると、寿司種仕事の種類や個性、魚の旬、本当の意味でのコストパフォーマンスなど、実に「腑に落ちる」ことが多い。あちこちの店を食い散らかすように訪問していては決して分からないことでもある。

これから行く寿司屋が1店だけでよいかと言われるとそれは困る。しかし、3〜4店あれば、まあ十分だなという境地にだんだんと達してきた。会社に勘定つける社用族で賑わってる、いわゆる銀座の「接待用超高級寿司屋」はもとより排除してのことであるが。

土曜は、散歩がてらにブラブラと築地を通って銀座まで歩いたのだが、「寿司大」も「すし好総本店」も営業しており大盛況。銀座コリドー街の「梅丘寿司の美登利」も営業中。店の前では30名以上入店待ち。どの店も入ったことないが、これまた凄いもんだ。

「しみづ」も早い時間は予約で一杯。休んでる寿司屋が多いから、へたをすると普段より忙しいかも。お盆休みの終盤。金曜から築地はお休み中。寿司種のほうはどうかと思ったが、そこはまあプロであるからちゃんとしている。

「秋鹿」常温でツマミを。白身はカレイ。立派な身で香りもあり普段と変わらない上質なもの。しかし、カレイ以外には白身無し。タコは北海水ダコで桜煮にしてあるのも休みの影響か。ツブ貝は結構。アワビも実に大きく旨みも十分あるが、香りはやや薄い。カレイ昆布〆は昆布の滋味が舌の上で溶け出すよう。

アジはネギと胡麻をまぶして。美味い。珍しくハマグリを置いてたのでツマミで。大きな身だが、まだちょっと大味か。出てくるのはどれも水準以上だし、種札もそれなりに揃っている。しかし、カツオ、北寄貝など、他から注文があれば握るがツマミには切ってこない種もある。お盆の影響を感じたのはそんなところか。

お茶を頼んで握りに移行。まずコハダ。3匹つけ、2匹つけ、片身づけと大きさを変えて1貫づつ握る面白い趣向。確かに身の大きさによって香りも脂の具合も違う。〆はもともとしっかりしているが、昨日は、いつもより更に塩も酢も効いてたような。マグロは松前の縄だったか。クスミ無く明るい色で、脂の具合も旨みも、酢飯との相性も素晴らしい。アナゴもカンピョウも堪能した。最後にいつもは頼まないのだが、ちょっと玉子を一切れ。

お客さんが寸時途切れたので、お茶を飲みながら、フジタ水産主催大間マグロ視察ツアー、「鶴八寿司ばなし」文庫本巻頭の握り寿司写真が、昔の単行本のままでなく全部新しく変わってることなど、親方と寿司雑談あれこれ。

神保町「鶴八」の師岡親方というのは97年に引退してるので、握り直したはずはない。文庫化された本の口絵写真は、神保町の店を継いだお弟子さんの作品のようだ。しかし、これが昔の単行本の時よりも、ずっと今の「新橋鶴八」の握りに似てるのが面白い。「しみづ」ともやはりどこか似ている。親方から弟子に伝わって行く江戸前握りの個性というのも、なかなか凄いもんである。