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2003/07/27 「與兵衛」巡回 / 隅田川花火の夜

昨日のお昼銀座に出ると、あちこちで新聞の号外を配っている。宮城地震の報道。しかし、いまだに新聞の号外があるんだな。TVの映像では、天地逆さまになった日本家屋が映っていたが、あれはいったいどうやったらああなるのか。まるでハリケーンの痕のよう。

夜は、久々に西大島「與兵衛」巡回。日曜日は満杯で2度ほど予約が取れなかった。店の前の看板が変わっていた。のれんと同じ色に。日本酒「十四代」の名前が入った看板は日本初だと親方が。なるほどねえ。

「十四代」を冷で飲みつつ、まず最初にいつものつきだしが。ホタテ煮びたし、エビ頭、シャコ、アオヤギヒモ、シロイカ耳、煮スルメイカ。どれも煮たり漬け込んだりして味がついている。シャコはしっとりと旨みがある。スルメを煮るのは古い仕事だが、甘いタレとなかなか合う。

スズキアラの煮つけ。出汁にはニンニクを入れてある。白身にニンニクとは意外な気もするが、旨みにふくらみが出て素晴らしい。

もう少しツマミをということで、スズキの胡麻醤油ヅケ、マグロ中トロヅケ炙り、イワシの炙り。マグロとイワシはこの店の定番であるが、いつもながら素晴らしい。クセになる味だ。ここでスズキを食べるのは初めてだが、ヅケにすると、スズキの身にあるかすかなクセが逆にコクに転じて、これまた素晴らしい。

コハダの新子はすでに出ているが、まだ身が小さ過ぎて〆ても塩と酢の味しかしないから使わないとのこと。いつもの仲卸が「そろそろ使いますか」と言わないと使わないと。2枚づけくらいが一番美味い、とはどこの職人も言う真理である。まあ、小さいのは味というより季節を食べるようなもんなんだな。

「あら輝」の親方も河岸で見かけるとか、「さわ田」とはワサビ問屋が同じだとか、寿司マニアな話をちょっとだけ。

このへんで握りに移行。マグロ赤身ヅケは、実にしっとりして美味い。シマアジづけ炙りもここのスペシャリテだが、これまた結構。北寄貝は甘酢にひたして。エビも酢飯との相性が最高。

光り物連発も凄かった。鮎はかなり皮目を強く炙ってあるが、酢もうまい具合に枯れて、身が下の上でホロホロと崩れる。酢飯も最高。アジ、イワシ、キス、すべて塩して酢で〆てという古い仕事だが、脂の乗った素材のよさがはっきりと分かる。アナゴは白い、いわゆる沢煮だが、これも脂が乗ってとろけるよう。濃い味のツメとの相性も最高。小柱を入れた玉子も実にシットリとしてしみじみ旨い。玉子についてはこの店のが一番好きだ。

 江戸前を堪能。通い出した頃と比べると、なんだか勘定がちょっとだけ安くなったような。デフレの影響か。はは。

店を出ると遠く花火の音。そういえば、隅田川花火大会の日だった。タクシーで帰宅すると、エレベータホールからまだ遠くに花火が見える。去年も写真載せたので、本年も一枚掲載。拡大してるので、実際にはかなり遠い。なんだかバグダッド空爆の図にも見えるな。