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2003/04/27 久々に上野毛、「あら輝」

昨日の夜は、久々に上野毛、「あら輝」巡回。カウンタには、何度かこの店で会ったことのある子供連れの常連夫婦。「きよ田」でも常連だったらしいが、「センセイ」と呼ばれる父親のほうは、大きな声で最初から最後まで、やかましいほど寿司種を誉めまくる。これが「きよ田」の普通の流儀だったとすると、店がよくしつけたものである。

3月後半に来た時はいなかったが、店には若いお弟子さんが入っている。知り合い筋から頼まれて1年の約束で預かってるのだとか。すでに修行経験があるらしく、動きはしっかりしている。後から入って来たお客には、ツマミの切りつけなんかを担当していた。

最初に出てきたのはトリ貝。次に来るお客様の分はないので、早く食べてくださいと親方。実に立派な身で、爽やかな香りと貝とは思えない軽やかな甘さがある。白身はスズキ。この店で使うのは今年初めてだとか。軽いポン酢をかけて供するが、上に乗った肝は実に濃厚だ。

トコブシの塩蒸しの次はカツオ。背節のほうもツヤツヤと実に美味そうだったが、これは腹身のほう。カツオ節を炊きこんだ土佐醤油とゴマをかけて。すでにかなり脂が乗ってきており美味い。アオリイカの炙りも結構。アジは宇和島だというが、小ぶりな割に血合いまでびっしりと白い脂が乗り、この脂がなんとも爽やかで軽い。ちょうど今が旬の時期だ。つまみに切ってきたマグロ赤身は油津。北海道のウニと続く。

7時過ぎに3名で予約したらしいお客が2名で入店。「こちらでお待ち合わせですか」、と親方が聞くと、「いや、もう一人は来るかどうかわかんないや」と一見らしい客はケロっとしている。どちらもヒゲ面のギョーカイ風だが、メディアに露出が増えるとこういう困った客も増える訳であった。

このあたりでそろそろ握りに移行。まずはいつも通りのマグロ連発。6貫ばかり来ただろうか。脂の乗った中トロ部分はなかなか結構。もう少し柔らかくしっとりしてるほうが個人的には好みだが、凡百のマグロよりずっと素晴らしい。酢飯の具合も実に美味い。

コハダの〆具合もよかった。アナゴは、ワサビに煮切り、そしてツメと2貫出てくる。軽い煮上げをしっかり炙るのがここの流儀だが、すっきりした脂が感じられて、「しみづ」とはまた別系統の美味さ。握る寸前に茹で上げる九州の車エビは、ミソが素晴らしい香り。エビの身の甘さがここの酢飯に絶妙にマッチする。カスゴの〆は、ややきつい気もするが飯と合わさると、ホロホロと崩れる白身がしみじみと美味い。最後にカンピョウ巻をもらって〆。

この店は、寿司も美味いが、親方のお客をもてなす真摯な姿勢がいつもながら素晴らしい。駅までブラブラと歩く帰り道が、心豊かに感じられるのもこの店ならでは。