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2002/06/28 寿司の形

本屋に並んでいる、「一個人」という雑誌を見てたら、寿司の特集があった。特集ページの扉に並んだ皿盛りの写真を見ていると、ひとつだけ、「アッ、これは」と見覚えのある一人前あり。本文のほうを読むと、やはり、いつも行ってる新橋「鮨処 しみづ」の寿司であった。形だけ見ても分かるもんだなあ。

やや丸っこい形に特徴があり、特にマグロ、アナゴ、大ぶりのトリ貝、アワビなどの質感と切りつけ、そして握りの形が美しい。見ただけでピンときた。

これは余計な話なのだが、この同じ雑誌に、青山の某寿司店の握りが出ている。この店は、空間プロデューサーが手がけたという、雰囲気のある内装で、スカした若い店主の店。最近、あちこちの雑誌にオシャレ系の寿司屋として、よく出ている。

しかし、この店の握りの形は、いかにも汚いのである。腰高で寸足らずで、タネが上にチョコンと乗ったような握りと、タネの重みに負けてベトーっと低く沈み込んだような握りが混在している。要するにバラツキがあって、不ぞろい。マグロの切り方も、ちょっと大き過ぎる。シャリがドテラを着たように、タネが大き過ぎる寿司というのは、逆に田舎臭い。この店主は寿司屋の息子なんだそうだが、あんまりキチンとしたところで修行してないのでは。やっぱり、寿司の形だけでも色々と分かるもんだなあ。

最初に私が、寿司の形に感心したのは、ずっと昔に読んだ、「神田鶴八寿司ばなし」という本に出てくる口絵写真。神保町「鶴八」の師岡幸夫という寿司の名人の一代記であるが、この寿司の形が実に美しい。もう、この師岡親方は引退して、すでにこの寿司を握る人はいない。私自身も写真で見たことしかないが、実に美しい寿司だったな。

これ以外に、実際に行ったことある寿司屋で言うと、「銀座小笹寿し」、「すきやばし次郎」なんかの寿司の形も実にキレイだ。

もっとも、「形にこだわって何度も手返しをした寿司は価値が無い。形が汚くても、口の中でご飯がハラリと崩れるようにふんわりと握ったもののほうが上だ。」というのも、同じく「神田鶴八寿司ばなし」に書かれている教訓なのであった。