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2001/09/21 新橋で食ったり飲んだり

水曜は、妙に仕事が早く終わったので、新橋駅前ビル内の寿司屋、「新橋鶴八」に。この店は、ここ何週間か週末に連続して通っている「鮨処 しみづ」の師匠筋にあたる店。だけど入るのは初めてだ。

親亀小亀ではないが、「しみづ」の師匠である「新橋鶴八」の親方の、そのまた師匠は、有名な「神保町鶴八」の親方。この神保町の親方は、すでに引退したのだが、83年に書いた「神田鶴八寿司ばなし」という本が、江戸前寿司の魅力と東京下町育ちの自らの半生を語った名著で、再販を重ねたロングセラーになった。

この原作を元に「イキのいい奴」としてNHKの連続ドラマも製作されたほどであるが、この本家本元の神保町は、小体な名店にはありがちの、「常連を鼻にかける」感じ悪い常連が多く、イチゲンには大変に居心地悪いというウワサをネットで読んだ。

「新橋鶴八」のほうも常連多しという評判を聞いていたが、平日の夕方だっせいか、店に入ったら客は私だけ。親方は、とっつきにくそうな怖い顔だが、話しかけてみるとごく普通である。

菊正宗の冷酒を飲みつつ、カレイ、アワビの塩蒸し、シマアジをつまみで。まるで蜜蝋のような脂がびっしりと白い身に入ったシマアジは、そろそろ旬も終りのはずだが、その稠密な脂にクドさはなく、口にするとあっさりと軽く溶け、まことに絶品なのである。

その後は、コハダ、サヨリ、サバ 穴子、ハマグリと握ってもらい、海苔巻で〆。サヨリは少々大味か。サバはすでに脂が乗ってきて美味なり。光り物の締め具合は実に結構。穴子がこれまた滋味深く、実に美味い。

ここの親父は、さすがに叩き上げた職人らしく、ヘマをやった弟子を叱りつける(しかも結構アレコレと叱りつけるのだが)低い怒声に迫力あり。もっとも、ネタの旬をたずねると気楽に答えてくれるし、勘定すませて席を立つ時には、「またよろしくお願いします」と破顔一笑。顔は怖いが「実はいい人」系という感じだな。