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1998/06/18 「市民ケーン」がアメリカ映画ナンバーワン

今朝はちょっと早めに眼が覚めたので、車で出勤。外も蒸し暑そうだし、ちょうどいいか。幾分早めに出かけたのだが、やはり相模川越えと246号で渋滞。結局、所用時間は1時間20分。バスと電車を乗り継ぐのとほとんど変わらない。う〜む。今度はすべて裏道で行ってみるか。

Yahoo!のニュースを見ていたら、「アメリカ映画協会(AFI)が選ぶ米国映画トップ100が16日、CBSテレビの特番で発表され、オーソン・ウェルズ監督の古典的名作「市民ケーン」が1位に輝いた。」なんてロイター発が流れている。

まあ、映画の歴代のトップ10を選ぶ時には、「市民ケーン」と「戦艦ポチョムキン」が2大横綱でランクインするのは、もはや映画界のお約束と言ってもいいが、これはアメリカ人が選ぶアメリカ映画のトップ100なので、「ポチョムキン」は落選したんだな、きっと。 しかし、「ポチョムキン」も名前だけはさんざん聞くが、見た事ない。(しかし変った名前だ)DVDのディスクが発売になってたような気がしたけど。

「市民ケーン」のほうは、ずっと以前にはビデオディスクも持ってたし(LDじゃないほうね。なんて言ったっけ。古い話だなあ)アメリカでもセルビデオを購入して持って帰ってきた。ビデオの説明によると、公開されたのは1941年。脚本・監督・主演・プロデュースを、すべてひとりでやってのけたオーソン・ウェルズは、この時若干25歳。まあ、一種の天才ですな。


もっとも、この映画の制作課程については、暴露本も出ていて、実際には、プロデューサーや脚本家と大ケンカしたウェルズが、最終段階で彼らを叩き出して、結果的に成功した映画の名声を一人占めにしたなんて話もあるが、まあ、若きとてつもない才能と言うのは、概してそういうものかも知れない。


実在の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしたとおぼしい百万長者の主人公、ケーンが「Rose Bud(薔薇のつぼみ)」と言う謎の言葉を残して天寿をまっとうするところから映画は始まる。その最後の言葉(Dying word)が何を意味しているのかに疑問を抱いたある新聞記者が、その謎をたどる。

記者がケーンの旧友や知人、前妻を尋ねてまわるにつれて、一代で莫大な富を築いたこの男の数奇な運命と強烈な個性の描く波瀾万丈の人生を、一種のサスペンス物を見るように、映画の観客が引き込まれて追体験して行くという筋立てが、実によくできている。アカデミーの脚本賞を取ったんだな。その他7部門にノミネート。

映画の最後では、観客には、ケーンの最後の言葉の意味が分かる仕掛けになっているが、映画の中の狂言まわしである記者には、結局それは謎のままである点も、なかなかしゃれた演出と言えるだろう。

青年期から老年までを演じ分けるウェルズの役者としての才能にも驚くしかないが、ミニチュアを使用した特殊撮影や、映画ならではの色々なトリック撮影、演出上でのとても凝った光の使いかた、テンポの早い場面転換など、単なる映像の面だけを見ても、第二次大戦前に制作されたこの映画が、いまだに輝きを失っていないのは、まさに驚異と言うしかない。映画の文法の教科書的作品でもある。

もっとも、ウェルズもこの信じ難い名作を作ったあとは泣かず飛ばずで、結局、一生涯着いてまわった「一発屋」の評判を打ち消す事ができなかったのは、ちょっと気の毒な気がするが。最初が凄すぎると、後がつらいよなあ。まあ、映画に限らず。


で、残りのトップ10を自分自身はどれくらい見た事があるかをチェックしてみるとこんな風。

見た事あるのは10本中6本。まあ、古い映画が多いから仕方ないか。「シンドラーのリスト」を見てないのは、ちょっと情けないかも。しかし、「市民ケーン」も「風とともに去りぬ」も「オズの魔法使い」も、今の観点から見ても超大作だが、全部、戦争前の作品。こんな映画を平然と制作できる豊かな国相手に、よく戦争なんてしたもんだ。いやはや。