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2006/03/06 「ジャーヘッド」

土曜日曜は、午前中にランニング。気温が上がってきたのは結構なのだが、花粉の影響も感じられるわけで。どうも喉や鼻の調子がなあ。一昨年まではなんでもなかったのだが、昨年だいぶ症状が出てどうも今年も同じような。日曜午後は、映画でも見るかと有楽町まで。「シリアナ」か「ミュンヘン」にするかと思い、まず丸の内プラゼールに寄ると、上映25分前の段階で窓口には10名くらいの列。全席指定の空席を確認する声を聞くに、もうかなり前と後ろしか残って無い模様。ということでこの映画は断念。

「シリアナ」も公開直後だし混んでるかもしれない。「ナルニア国物語」はやはり窓口に長蛇の列。どこか空いてる映画ないかと見回すと「ジャーヘッド」発見。これなら大丈夫だろう。上映は1時間後。本屋で時間つぶして入館すると、案の定空いててよかった、やれやれ。というか何やってんだ俺は。



軍隊でしごかれる「新兵物」というのは、東西を問わず割と確立した映画のジャンルであって、古典的鬼軍曹が出てくる「フルメタル・ジャケット」やら「愛と青春の旅立ち」も思い出すシーン多々あり。アメリカ海兵隊を描いた今回の映画で珍しいのは、舞台が第一次湾岸戦争のクェートとイラクであるということか。

海兵隊員達の、マッチョで、粗暴で、下品で、冷酷で、即物的で、そして倦怠と狂気にあふれる殺伐とした軍隊生活。浮気して去ってゆく恋人や、家庭の崩壊などは扱われるが、戦友との友情や戦場でのヒロイックな活躍が描かれているわけでもない。政治的なメッセージは皆無。印象に残る見るべきドラマもないし、戦闘シーンすらほどんどない。軍事衛星とステルス機と誘導ミサイルが勝敗を決する現代の戦闘では、地上を這い回る歩兵に見ることができる戦争の姿というのは、おそらく本当にこの程度なのだろう。むしろ居間でCNNを見ていたほうが実際の戦争には詳しくなるのでは。

湾岸戦争に従軍した兵士の手記が原作らしい。原作には忠実に作られた印象を受けるが、実に淡々と、いつ戦争が始まって、いつ終わったのか分からなかった前線のエピソードも、今にしてはさもありなんという印象。クウェートからイラクへ撤退する砂漠の道。イラク軍の戦車も、軍車両も、徴発された民間車両もすべてアッという間の空爆ですべて真っ黒焦げになったシーン。実物は報道写真でも見たが、この映画同様、圧倒的な現実なのになぜか現実から遊離した不思議にシュールな映像。砂漠映画の中で兵隊達が見て興奮する「地獄の黙示録」の一場面、「ワルキューレの騎行」に乗って襲来する攻撃ヘリが、一番我々の普通想像する戦争に近いというのも、実はなんとも皮肉な話である。

時間も長く、全体に淡々と描きすぎ、面白みのない映画とも言えるが、砂漠に燃え上がる油井のシーンは妙に美しい。砂漠の炎を背景に、突然に馬が現れる場面も、黙示録的幻想を想起させる印象的なシーンとして成立していた。