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2002/07/29 「バニラ・スカイ」

DVDで「バニラ・スカイ」 を見た。

5月の連休、オーストラリアから帰るSQでも、機内ビデオで吹き替え無し英語版を見たのだが、DVDで見ると、音質もよいし、字幕もついてるし、細かい内容がよく分かる。ははは。

「バニラ・スカイ」というのが、トム・クルーズの豪邸に飾られていたモネの絵の空に由来することはDVD見て初めて分かった。「Pleasure delayer」という言葉も、飛行機の中では聞き取れなかったなあ。

両親の突然の事故死から、出版社の支配権を相続し、地位も名誉も財産も若くして手に入れ、NYの豪華なアパートメントで、女にも金にもまったく不自由しない、気ままな暮ら しを送るハンサム・ガイが、トム・クルーズの演じる役。

「オレって、カッコイイだろ!」的なニタニタ笑いは、演技でやってると本人は主張するだろうが、半分は努力なしに地でやれる役どころという気がする。

火遊びが前の女の嫉妬を呼び、自動車事故による無理心中事件に巻き込まれたクルーズは、3週間の昏睡から目覚めた時には、全身に障害が残り、二目とみられぬ醜い傷を顔に負う。

ここから映画は、回想と悪夢が交錯し、現実と妄想が渾然一体となった世界に突入してゆく。陰謀、錯乱による殺人、精神分析、仮面に閉じこもった男、LE計画。破綻しそうなストーリーは、最終的にかなりのカタルシスを持って、なかなか見事に収斂する。「オープン・ユア・アイズ」というスペイン映画のリメイクなんだそうだが、キャスト変えただけで、ほとんどそのまま作っているという話だ。ま、もともとの原作がシッカリしていたのだろう。

エンディングは、ある意味、「ジェイコブズ・ラダー」にも似ているが、ハッピーエンドとは言えないまでも、ラストには、ある種の救いが暗示されている。ここが、ちょっとテイストの違うところか。

この監督は、たたみかけるようなリズムのあるカット割りと音楽の使い方が巧みだ。悪夢シーンに出てくる人ひとりいないマンハッタン、タイムズ・スクエアの街角は、NY市の許可を得て、11月の早朝に実際の街角を3時間封鎖して撮影したのだそうだ。ラストの、目のくらむような超高層ビルに登って行くエレベーターのシークエンスは、CGを使った特撮であるが、なかなか素晴らしい。