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2001/11/26 意外に面白かった「エボリューション」

日曜の午後は、相変わらずゴロゴロしてたが、午後からちょっと思い立って近くのシネコンに。「エボリューション」を見た。封切は、今月の初頭だと思ったが、マイカル系やこの系列では、すでに今月一杯で上映打ち切り決定。宣伝用の公式Webサイトもすでに更新ストップ。興行的には大コケしたようだ。

2〜3ヶ月前だったか、たまたま朝乗ったタクシーの窓に、この映画の宣伝ステッカーが貼ってあった。

 ← コレだ。なんか「三つ目のピースマーク」という不気味なロゴで、「人類へ、よい終末を」とだけ書いてある。なかなか不気味なインパクトがあって、秀逸なロゴだと思ったが、ステッカーだけよくても、興行的にはダメか。ははは。

映画のほうは、期待してなかったのだが、しかし、案外に楽しめた。巨大隕石が落下して、そこから宇宙の生物が地球を侵略してゆく、というのは腐るほど使われた古典的なSFテーマである。しかし、この映画の場合は、ある程度の予算で気楽に作ったB級感と、下らないジョーク連発が、かえって荒唐無稽なストーリーやCGにピッタリとマッチしている。

個人的には、「MIB」と、どっちが面白いかと聞かれたら、無条件で、この「エボリューション」だ。興行が、なんでそんなにコケたか不思議な気がする。もっとも、「タイタニック」はバカ当たりしたが、面白かったかと問われれば、そんなこともない。普段、映画なんて見もしない連中が、「面白い」「面白い」と劇場に詰めかけないと大ヒットにならないものなあ。

くだらないジョークを連発する黒人教師役は、大スターになる前の、ジェフ・ゴールドブラムだったらやりそうな役で、大笑いした。「映画ではいつも先に死ぬのは黒人だ」と、映画のステレオタイプから逸脱するようなギャクを飛ばしつつも、結果的として、古典的な主役を引きたてるトリックスターに落ちつく。この役割が鮮やかなのは、本人が芸達者なのもあるが、セリフと演出がなかなかよく出来ているからだ。

モペットも使ったという、異星からの生物が進化した異形のクリーチャーは、実によく出来ており、見せ方も秀逸で、時折唐突に出てくる。油断してたので恥ずかしながら、何度か心底ビックリした。もっとも気持ち悪いのが嫌いな人は、これはダメであろう。

監督のライトマンの代表作は、『ゴーストバスターズ』なんだそうだ。気の毒に、まだ、そんな映画が代表作とは、その後はちっともヒットが無いのだろう。この映画は、ある意味、「ゴーストバスターズ」より良くできていると思ったが、アメリカでもコケたのだろうか。運の悪い人ってのはいるからなあ。

主演俳優陣は、まあ、大した役割もしてないのであるが、「X−ファイル」のモルダー捜査官を降りたドゥカブニーと、「ハンニバル」のクラリス捜査官を演じたジュリアン・ムーア。豪華と言えば豪華だが、やや2線級感が漂うと言えば漂うコンビネーションともいえる。

しかし、軽いジョーク満載でコメディタッチの、「SF・バイオホラー・スラップスティック」なのに、いかにもネクラな2人が主演では、どうも映画の雰囲気に合っているとは言い難い。ご両人とも、大ヒットした前作の残滓を振り払うためのチャレンジということは理解できるが、もうちょっと別の選択があったような気がするなあ。

ま、逆に映画を活かす方向で見るのなら、主役陣には、無名でも、もっと明るいのを据えてたら、ひょっとしてヒットしたかもしれない。なんだかそんな気もする映画であった。