MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2001/07/22 その2 だいぶ前の「猿の惑星」だった。

今朝、「猿の惑星」の話をアップしてからNikki Siteにアクセスしてると、「カナダからひとりごと」に、『「猿の惑星」はまだ最終版が完成してない』と書いてあった。

Yahoo!で検索してみると、なるほど、19日付で、 'Apes' Production Behind Scheduleという記事がある。ティム・バートンとスタッフは、特殊効果の最後の直しに、ギリギリまで突貫作業をしており、来週末の全米公開に間に合うかどうか心配されているらしい。映画音楽にも、最後まで直しが入っているのだとか。

このニュースは、他にも複数のソースで語られてるので、おそらく事実だろう。だとすると、昨日見た「猿の惑星」は、いったい何であろうか。おそらく、日本での試写会や、先行レイトショー用には、かなり前のプリントが輸入されたのだな。

日本で公開するには、フィルムの輸送、通関もあるし、日本語字幕も作成しなくてはならない。公開用に原版のネガから劇場の本数だけポジ・プリントを複製して各劇場に届けないといけない。そういう日数を考えると、昨日のプリントは、少なくとも今直しをアメリカで入れてる最新版より1ヶ月以上前のものではないだろうか。

こんなに差し迫るまで監督がオリジナルを直してるのだとしたら、最近よく宣伝してる日米同時公開ってのも考えものだ。日本での公開はいつも古いバージョンということになる。もっとも、非公開の試写会を繰り返しながら、結末を差し替えたり、ナレーション替えたりするのは、結構よくある話のようで、「ブレードランナー」なども、劇場公開用としても、いろんなマイナー・バージョンが存在するのではあるが。

それにしても、最後まで修正があるのなら、なにも無理して世界に先駆けて日本での先行レイトショーなんかやらなくともよい気がする。なんでそんなにあせる必要があったのかね。アメリカでの批評家への試写もこの火曜日らしいし。

前作の「猿の惑星」シリーズは、ずいぶんと日本で稼いだから、今回も日本の夏休みにぶつけて、しっかり儲けようという日本側の魂胆であろうか。しかし、映画のトーンは、あんまり小さな子供向きではない。興行成績では、おそらく「千と千尋」に惨敗する気がするけど。ふ〜む。

まあ、もしも日本の配給会社が早目のリリースを要求したのだとしたら、「最後の直しでクソ忙しいのに、ジャップの配給会社がうるさく言ってくるから、とりあえず完成前のを渡しとけ」、と20世紀フォックスも適当なバージョンをよこした気がするな。

さて、来週末の本番公開までには最新版に差し替えがされるのだろうか。あるいはもうそのままか。なかなか興味深いなあ。



2001/07/22 「猿の惑星」を観た。

昨日の夜は、銀座でビール飲みながら焼き鳥など食す。TVでプロ野球オールスター戦見ていたが、野球ってのはイマイチ力が入らない。ふと思いついて近所のシネコンに電話したら、今夜は全席指定で、まだ十分余裕があるという。そんな訳で、夜9時半からの「猿の惑星」先行レイトショーに行ってきた。

映画の冒頭から、ティム・バートン特有の、実に暗い、陰惨な雰囲気。特殊効果には、”化け物作りならまかせとけ”リック・ベイカーの名前がクレジットされている。それにしても、猿のメイクアップは、たいへんに感心した。

昔の「猿の惑星」でも、猿のメイクは、作品を追うごとに、着実に進歩していったのであった。しかし、今回の、おサルさん達の顔は、SFXの進歩もあって、旧作からは何世代も違う、素晴らしいデキ映えだ。

チンパンジー上がりの(←上がりって言うのか?)ゼード将軍の表情なんてものは、(おそらくCGも使ってるのだろうが)、あっけにとられるほどよく出来ている。オランウータン上がりの(←だから上がりやないっちゅーの)奴隷商人も、実に表情ゆたかで、特殊メイク見るだけでも映画館に足運ぶ価値があると思うなあ。

あとは、おサルさん達の仕草や、時折見せる興奮した時の動作が、実に細かく演出してあって、社会を形成してもいまだに残るサルの獣性が、リアルに感じられるようになっている。マルセ太郎の演技指導でも受けたのかもしれないな。ははは。

もっとも、どういうわけか、ゴリラ系は、特殊メイクも動作も、あんまり凄くないのであった。旧作のゴリラから、あんまり進歩ないような気がする。メイクも、パーティーグッズによくあるゴリラのお面にちょっと毛の生えた程度にしか見えない。不思議である。まあ、この映画では、ゴリラは粗暴なだけの軍人役がお決まりなんだが。

旧作同様、ピエール・プールの原作に基づく、リ・イマジネーションとのことであるが、すでに「猿の惑星」そのものは旧シリーズで5作も出ているわけだから、びっくりするような趣向があるわけではない。作品世界の設定が、ほとんどお約束なので、ディテイルへのこだわりは凄いが、ストーリーは、まあ、こんなもんであろうという印象。

そうそう、SF冒険系には必ず出てくる、毛皮着た半裸の美女だが、本作にもちゃんと出ている。しかし、特にセクシーなシーンも無し、主人公とのカラミもあんまりなく、ほとんど見せ場が無かったな。

全体にストーリーは、ちょっと平板な気がしたが、ま、これも旧作を意識したところがあるからしかたない。映画館を出る時に、横にいたバカップルの女の片割れが、「最後がなんでああなんのか、わかんな〜い」とのたまっていた。まあ、ラストについては、別に理解不能ではないが、「猿の惑星」独特のエンディングの類型だと納得してもらうしかないだろうなあ。旧「猿の惑星」へのオマージュとして捉えれば、あれはあれでよいのである。

そうそう、つまらない余談だが、Monkeyと呼ばれたゴリラが、「俺たちはApeだ!」と激怒するのが面白かった。