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2000/10/25 「シャーキーズ・マシーン」

昨日の夜は、休みに購入したDVD「シャーキーズ マシーン」を鑑賞。バート・レイノルズの監督・主演の刑事物。とりたてて名作というわけでもないが、昔々、劇場でたまたま見た時に、どういうわけか不思議に印象に残るところがあった。

レイノルズは、プロのフットボール選手を目指していたが、怪我で挫折して俳優に転向した変わり種。肉体派だけあって、汗臭いマッチョな刑事役なんかがいつもぴったりくる。

専門的な演技の訓練は、あまり受けていないのか、この作品でも、彼の演技は、繊細さや絶望や狂気や嫉妬や激怒といった、いわゆる深い演技とはまったく無縁のダイコンぶり。しかし、一見コワモテではあるが、人懐っこい笑顔を見せると、ちょっとシャイでナイーヴな人の良さが感じられるのが、この俳優の持ち味でもある。

もっとも、この作品から17年後、98年のアカデミー賞では、「ブギーナイツ」で助演男優賞にまで堂々とノミネートされたのだから、最近は演技派に転向したのかもしれない。10年ほど前には、エイズ説が流れて本人が憤慨した声明を出したという記憶もあるが、ガセネタだったんだなあ。

映画のほうは、レイノルズ演じるアトランタ警察麻薬課のシャーキーが主人公。原題の「マシーン」とは、「意のままに動く配下のチーム」ということ。ふとした事故から、閑職に追いやられたレイノルズが、高級コールガールの疑惑を追ううちに、麻薬と売春によってアトランタの暗部をあやつる黒幕に辿りつく。黒幕にあやつられた州知事候補、一晩1000ドルの女、腐敗警官、そして不気味な殺し屋があれこれと絡み合う典型的ハードボイルドの世界。

映画冒頭のタイトルバックとエンディングに使われているヘリコプターからの空撮は、荒削りだが、なかなか計算されたショットで成功している。アトランタのあの鏡張りの超高層ビルは、なんというビルだろうか。アメリカの大都市にある派手な超高層ビルは、たいていバンク・オヴ・アメリカ、というのが通例なんだが。

主人公が、どんな窮地に追いこまれても軽口を叩くのを止めない、というのも、典型的ハードボイルド物の特徴を忠実に踏襲している。レイノルズが悪漢に捕まり、拷問される直前、バタフライナイフを降りまわす中国系殺し屋に、「Auditioning for a job at Benihana's?(ベニハナの職でも探してるのか?)」などとしゃべるのが、その典型だ。

で、その直後にレイノルズは殺し屋に指を切り落とされるのだが、タフガイ、マッチョが売り物のレイノルズが、泣き声に近い苦悶の悲鳴を上げるシーンは、まさに迫真で凄い。そうそう、このシーンが妙に印象に残ってたのだよなあ。ようやく思い出した。