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2000/07/31 M:I-2を見た。

昨日の夜は銀座に出て、「M:I-2」、日曜の最終上映を見た。しかし、オフィシャルな略が「M:I-2」だとは言うものの、これが「ミッション・インポシブル2」の略だとは、ちょっと考えないと分からんよなあ。

オリジナルの人気テレビシリーズ、「スパイ大作戦」は大好きで、放映時にはいつも見ていた。主人公のフェルプス役を演じたピーター・グレイヴス、懐かしいなあ。「君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで」なんてセリフは今でも覚えている。

で、この映画はシリーズ第2作だが、オープニングのロッククライミングするトム・クルーズのシーンは、たいへんに壮大で、高所恐怖症の人なら頭がクラクラするほどよく撮れている。もっとも、あまりにもクルーズに派手な動きをさせたせいで、かえってCGによる撮影だということがバレてしまうのはご愛嬌か。

監督のジョン・ウーは、「男達の挽歌」シリーズで名を売った香港出身の監督だけあって、派手なアクションはお手のもの。これでもかこれでもかとバイクや車やカンフーもどきのアクション満載。トム・クルーズも出ずっぱりで、クルーズ・ファンにはなかなかよい作品だろう。

しかし、この「M:I-2」には、オリジナルのTVシリーズや、デ・パルマの第1作には感じられた、知的なスリルとサスペンス、そしてアッと驚くドンデン返しが無い。なんだか、全編にわたって脈絡なくトム・クルーズが暴れているだけのように思える。「スパイ大作戦」より、「007」シリーズに近づいてきた印象。

弱点のひとつは、悪役、アンブローズにあんまり魅力がないこと。元恋人であるナイアが自分の元に戻ってきた後の競馬場で、アンブローズは、彼女がスーツのポケットからスリ取ったメモリーカードをポケットに戻す際に、彼女の裏切りに気づく。

自分の愛した女が自らを裏切るために戻ってきた。血も逆流するようなエモーショナルな場面であるが、ジョン・ウーはなぜかその後の葛藤を描きこもうとはしない。というか、そっちの方面にはあんまり興味ないんだな。

そのナイアは、実は主人公、トム・クルーズ演じるハントと恋に落ちているのであるが、自らの愛する女性を死地に赴かせるというトム・クルーズの葛藤も、あんまりうまく描写されているとはいえない。ひとりの女を巡る確執を、もっと劇的に描けば、悪役にも深みが生じて、トム・クルーズも、もっと光ったと思うのだが。もっとも、そういうことを扱う映画ではないといえばその通り。

その点、ジェームス・ボンド物なんかは、エンターテインメントをよく分かっていて、出てくる女性は殺し屋か、ボンドの一時の遊び相手だけ。007の真剣な恋なんて描いていたら、話がちっとも進まないからと割りきっているからであって、すがすがしい徹底ぶりである。この映画の場合は、ヒロイン出してわざわざ甘い設定を入れたのだが、肝心のドラマに力を入れるのを忘れた。なんだかチグハグに消化不良を起している気がする。

もう一点付け加えるなら、トム・クルーズを支えるチームのメンバーも実に印象が薄い。トム・クルーズが超人的に活躍しすぎるので、まわりでオタオタしてるだけのような印象。この点も、やはり、昔懐かしい「スパイ大作戦」とはまったく違った映画だなあ。デ・パルマが監督した第1作のほうが、オリジナルのシリーズにはずっと近かった。

そうそう、アゴから顔の皮膚をメリメリと剥がすと、実は変装でしたってのは、これまた懐かしい「スパイ大作戦」のお家芸とも言える古典的なトリックで、一度はあれが出てこないと「スパイ大作戦」を見た気がしないほどの定番だ。

デ・パルマの前作もそうだが、最近は、CGが進んで、この「顔面メリメリ」のシーンは息を呑むほどリアルな映像に仕上がっている。ジョン・ウー監督は、よほどこれが気に入ったと見えて、このシーンをバカスカ連発。しかし、1本の映画であんまり連発すると、逆に驚きが無くなり興ざめである。過ぎたるは及ばざるが如し。