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1999/01/14 マイケル・ジョーダンのインターセプション

そうそう、昨日の日本のニュースでも大きく扱われていたが、マイケル・ジョーダンが引退した事を書き忘れていた。NFLこそ49ersファンだったけど、さすがにシカゴ郊外で暮らしてた時には、私も例にもれずシカゴ・ブルズファンで、よくケーブルTVでNBAの試合を見ていたもんだった。ユナイテッド・センターでブルズの試合を生で見た事もある。

そういう面では、ジョーダンの引退はやはり残念だが、考えて見ると、彼自身が、NBAで証明しようとした全ては、すでに成就している。彼が子供の頃からバスケットに賭けていた夢も、おそらくはすべて実現したに違いない。これ以上ないほどの栄光と名誉。そしてどんなプロスポーツ選手ですら、かって手にしなかったような巨額の報酬。1993年に最初の引退宣言をした時点ですら、彼はすべてを手に入れていたのだ。

野球への挑戦は、まあ成功とは言いがたかったが、彼は多分、何事かをなすためにNBAに戻ってきたのではなく、ただ、もう一度、正式に引退するためにNBAに戻ってきたようなものだったし、去年、監督のフィル・ジャクソンが去って以来、多くのファンは、すでに彼の引退をうすうすは察知していただろう。

FOXニュースで見ていると、「99.9% 復活はない」と言った後で、記者に、「1%くらいの可能性はまだあなたのポケットにあるんじゃないですか」と聞かれたジョーダンは、 「Because it's my 1 percent and not yours」(残りの1%については、私が決めることで、あなたは関係ありません)と苦笑していたが、さすがに前回の引退劇から、「never say never」が身にしみて、99%と言ったのだろう。とはいえ、復帰はやはりないだろう。それでいいのだと思う。

引退を惜しむ気持ちと同時に、地球上でバスケットボールをプレイした中でもっとも偉大な選手を同時代にこの眼で見られたという幸運に感謝したい気分だ。


ただ、個人的に勝手な妄想を述べれば、1993年の引退後は野球ではなくてNFLでプレイしてほしかったような気がするなあ。野球とともにアメフトも、当初は本人の選択肢には入っていたようだ。しかし、彼ほどのスターがWR(ワイド・レシーバー)なんかをプレイしたら、相手の格好の標的になって、タックルの嵐に巻き込まれて大怪我するかもしれない。止めとけなんて忠告されて断念したという話もある。しかし、野球をやるよりは、アメフトのほうに彼にあったポジションがあったように思う。

それはディフェンスのセカンダリー。CB(コーナーバック)なんかがよかったんじゃないだろうか。相手のパスを防ぐポジションだから、タックルをそう受けるわけではない。ジョーダンには、相手をマークして追いかけるなんてお手のもの。スピードもジャンプ力も身長やリーチも、ほとんどのWRを優に上回っているから、実に見事なインターセプション(相手のパスを横取りして、攻撃権を奪取すること)を次々に見せてくれたような気がする。

相手QBの放った長いパスが、放物線を描いてエンドゾーン内のレシーバーに向う。レシーバーは完全にフリーに見える。万事窮すと思ったその時、フェイスマスクをかぶったバスケットボールの「神」がフットボールフィールドに降臨する。

マイケル”エア”ジョーダンが、相手パスコースに見事にカットインして、独特のあの重力に逆らったかのような優美なジャンプ。はるか上空で、相手のフットボールを片手キャッチで軽々と奪い取り、あっけにとられるレシーバーを尻目に、反撃の独走に移る。

ジョーダンのインターセプションだけは、バスケットボールに習って、「スティール」と呼ばれる事になっただろうか。う〜ん。やはり、そういうシーンを見たかったような気がするなあ。