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1998/12/17 サンタが寒波を連れてくる / 所得税の不公正について力説するわたし

なんだかアメリカのほうは、西部から中西部にかけて寒波が到来して、ずいぶんと寒いようだ。Yahoo!の天気情報を見ると、南のダラスでも今日の最高気温がマイナス4度(摂氏)最低気温はマイナス6度なんだそうだ。

シカゴはきっと、もっと寒いよなあと見てみると、最高マイナス5度、最低マイナス18度。これは厳しい。しかし、よくこんな場所に2年も住んでたよなあ。こういう気温に耐えてたのが、今では、まるで夢のようだ。

もっとも、何にでも上はあるもんで、NFL、パッカーズの本拠地、グリーンベイを見ると、最高マイナス10度、最低マイナス21度となっている。モスクワでさえ、今日の最低気温はマイナス16度とあったから、ロシアより寒い。おそるべし、ウィスコンシン州。

しかし、寒波の中心はもう少し西寄りのようで、デンバーはグリーンベイよりもっと寒いらしい。もうキリが無いのでこの辺で止めるけど、やっぱり、このアメリカの寒波は、サンタクロースが北極から南下してきてるせいじゃないだろうか。<そんな訳あらへんって。


12月の給与明細が届いたので、年末調整の最終結果を確認すると、所得税に2万円だけマイナスが入っている。たったそれだけ。ちなみにこの1年間で、給与と賞与会わせてどれだけ所得税を取られたかを計算すると、(扶養家族がいないので、多くとられているのは事実だが)ざっと120万円以上になる。

はっきり言ってやってられんなあ。サラリーマンでいる以上、稼いでも稼いでも税金に持って行かれるばかりだ。もっとも税金を払うのは国民の義務だろうから、払うのは構わない。やってられない理由は、所得税の課税にあまりに不公正があるからだ。


全国法人会連合会の会報を見ていると、大阪大学の本間教授が、所得税制の見なおしについて述べている。ここ数年の減税によって、課税最低限度(所得税がかからない最低の年収)は跳ね上がっており、年収490万円以下だと、所得税がかからない。給与所得者の中で、所得税を支払っていない層は3割以上になるのだという。なんと、3割以上とはねえ。

払ってない層が増えたあおりで、中堅以上のサラリーマン層になると、急激に所得税負担が増大する。モデルで示すと、年収500万円で所得税はたった3万3千円。700万円で32万円、1000万円になると104万円。この累進課税のカーブはあまりにも急すぎるよなあ。

所得税を払わなくていい下限をどんどん引き上げたが、最高税率は65%と決まっている。累進課税のカーブを中間で極端に激しくしないとツジツマが合わなくなる為にこういう事になってるわけだが、ここ数年の無責任なバラマキ減税は、課税の公平性を著しく損なっていると言うしかない。

所得の多いものが税金が多いのは納得できる。累進課税にはそれなりの合理性があって、それは全世界どこでも認められている事だ。しかし、諸外国と比較しても、課税最低限の490万円というのは極端に高すぎるし、交通網などの社会資本や教育、医療、社会保障などの公共サービスを均等に受けていて、まったく負担をしていない層がこれだけいるというのは、とても公平な社会とは言えない。


もうひとつ忘れてならない所得税の問題は、やはり、クロヨン・トーゴーサンと言われる、所得の捕捉率だろう。「クロヨン」とは、平均して、税務署が給与所得者のすべての所得を「9」把握して課税しているとした場合、事業所得者の所得は「6」、農業所得者の所得は「4」の割合でしか捕捉されていない、という事。

つまり、平たく言えば、サラリーマンは会社が給料から計算して天引きで納税するから脱税できないけど、他の事業所得者は色々脱税の道がある事を示す経験率からのコトワザですな。

これが事実だとすると、農業所得者の中には、サラリーマン給与換算で1000万円以上の所得があっても、まったく所得税を支払ってないのがいるという事だなあ。まあ、全員とは言わないが。新幹線から眺める農家のあちこちに、セルシオやベンツが停まってるのも、なんとなく頷ける気がするぞ。

ただでさえ、都市の給与所得者から吸い上げた税金は、田舎出身の利益誘導型議員の土建政策によって、農村や漁村に還流している現状で、恩恵を受けている第一次産業の連中の税負担がこうまで少なくては、著しく社会正義に反するとさえ言っても過言ではないと思うのだけどなあ。

20代のサラリーマンなら、自分には関係ないと思う人も多いだろうけど、この傾向を是正することなく放置すれば、今、20代のサラリーマンが30代、40代になって支払う所得税は、今より更に多くなっているのは確実だ。しかし、サラリーマン新党なんかは、このへんの改善を訴えて誕生したはずだけど、いつの間にか跡形も無く消え去ってしまった。ふ〜む。

小渕恵三首相直属の諮問機関である経済戦略会議は23日、「日本経済再生への戦略」と題する中間報告をまとめたらしい。米国流の「効率と公正を機軸とした社会への変革」「健全で創造的な競争社会の構築」とともに、消費税の10%の引き上げなども提言したらしいが、消費税引き上げの前に、所得税の不公正を正す事のほうが必須だと私なんかは思うのだけど。