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1998/11/11 コドモに2万より、コギャルに30万

先週、サボッてたツケが回って、朝から色々と資料提出の締め切りに追われる。午後からは会議出席で1時間ばかり時間をロスするも、なんとか今日のところは終了。どうも疲れた。

夕方になってちょっと一息。今朝の新聞を広げると、「自公、商品券で合意」なんて記事が出ている。そうそう、昨夜のTVでやってたなあ。15歳以下の子どもと、65歳以上のお年寄りのうち、老齢福祉年金の受給者を含む低所得者に、一律2万円の商品券をバラまくのだと言う。受給対象者は、子どもが2088万人、老人が1421万人。金額にして合計7000億円。


しかし、どう考えても愚策だ。やはり公明党は政策立案能力なんてないんだな。この制度が、減税なのか、景気対策なのか、老人福祉なのか、選挙民へのご機嫌取りなのか、すったもんだやってる本人達にも訳わからなくなってるんじゃないの。

景気が悪くなって困ってるのは、残業が減ったりボーナスが減ったりした働き盛りの勤労者であって、ご老人の年金なんてカットになってない。価格破壊もあって、物価も安定しているし、老人層ってのは、悪いけど、もともと不景気の影響はそんなに受けてないはずの社会層だ。そんなところに、税収も減ってる折から、貴重な血税を注ぎ込むかねえ。

景気対策だというのなら、もともと消費性向の低い老人層に還元しても、必要品を商品券で買って、手持ちの金は貯金するだけの事になるね、きっと。子供の数に応じて配っても、それが消費に回る可能性はどうも低いような気がする。子供1人当たりの計算になってるから、親が使ってしまうのも気がひけるだろうし、必要品をそれで買って、「その分はおかあさんが貯金しといてあげます」って事になるんじゃ、景気刺激には何の効果も無い。


もっと心配なのは、実際に実行する時にクリアしなければならない問題が沢山ある事。まず、偽造が出てくる。メハシの効くヤーサンや外国人犯罪組織は、すでに偽造の名人のスケジュールを押さえにかかってるね。商品券の有効期限が半年だというから短期勝負だ。逆に慣れる時間が短いから偽造もしやすい。

次ぎに、商品券の配布はどうするのか。住民票から抽出して郵便で送るのだろうか。配布の時期になったら、さぞや、各家庭の郵便受け荒しが増える事だろう。

使うほうじゃなくて、貰ったほうの問題もある。商品券で支払いを受けた人や会社は、どこに請求して現金に換えてもらうのか。市町村単位で配るなんて言ってるが、市役所に請求して、そんなにすぐに換金してくれるだろうか。事務作業も煩雑だ。

税金の還付だって遅いのに、役所はそんな事務作業に耐えられるのかねえ。国庫金の小切手扱いにして、銀行で換金できるようにするのだろうか。だとすると、貰った人が、金に換えて貯金するんじゃない? 金融関係の法律法令の整備も必要だろうし。

偽造の恐れもあって、換金が遅いとなると、『商品券お断り』の店も増えるだろう。まあ、どっちにしろ、デメリットばかりで、あんまり景気を刺激する効果は期待できないなあ。


やはり、花咲か爺さんじゃあるまいし、限られた資源を、広く薄くバラまくのはとても愚策であって、一番効果の見こめる層に集中投下するべきだなあ。以前は、例えば、独身者減税なんて書いたが、実際に国民の人口構成を考えると、7000億円程度の財源では、やはり効果は薄まってしまうので、この案は撤回しよう。

もともと商品券構想の出発点と言うのは、減税しても貯金に回っては景気刺激効果がない、それなら商品券にしたら減税分を買い物に使うだろう、ってところにあった訳だよねえ。それを前提に置くと、今の日本で、資源を投入する効果の高い、比較的小さなグループで、貯金なんかせず、金を貰ったらジャンスカ使って、景気刺激効果の高い層ってのは、いったいどこらへんだろうか。

思考実験として考えてて、私はピンとひらめきましたね。

コギャルだ! もとから援助交際だって、遊ぶ金欲しさにやってんだから、お金貰ったら、バカスカ使って、世間にすぐにお金が還流して行くに違いない。それでは、全国のコギャル人口はどれくらいか?

総務庁の人口推計月報の平成10年6月確定値 を見ると、15歳から19歳の女性人口が、だいたい、381万人。これは5年区分だから、おおざっぱに3/5にして計算すると、約228万人。結構いるもんだね。まあ、全員が学校行ってないにしても。

で、今回の景気対策費 7000億円を、この228万人で割ると、なんと、ひとり 30万7千円! さんじゅうまん、ななせんえんの不労所得!普通のOLの一月の手取りよりずっと大きい金を、コギャル全員が手にする。これはデカイよ。

あんまり貯金なんぞする奴はいないだろう。手に手に30万円持ったコギャルが街に繰り出してゆく。壮観だねえ。

これはきっと、消費喚起効果が大きいなあ。百貨店、レストラン、有名ブティック、ブランド品専門店、遊園地、旅行会社、レコード店などなど。7000億円がどんどん社会に流れる。景気が上向く効果は実に大きいはずだ。

どうです、みなさん。『コギャル商品券構想』をぶち上げて、日本の景気浮揚を彼女らに託そうではありませんか。