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1997/12/08 我々が輸出するのはエンターテインメントだ!

今日の日本経済新聞を読むと、12月30日からいよいよ、パーフェクTVに対抗して設立される、もう一つのデジタル衛星放送、「ダイレクTV」の放送が開始されると言う記事が掲載されていた。サービス開始にあわせて通常波のTVにシュワルツェネガーを起用したCMを大々的に打つとの事。

アメリカ大統領に扮したシュワちゃんが、「我々が今度日本に輸出するのはエンターテインメントだ!」と叫んで、自ら飛行機に乗り込んで行く、と言う想定らしい。

確かにダイレクTVやパーフェクTVも、100チャンネルなんて宣伝しているが、実際のコンテンツは、ESPN、NBAやNFLなどのスポーツ中継、CNNやFOXのニュース、各種ムービーチャンネルなどなど、大半はアメリカから来た映像だ。

こういったエンターテインメントのソフト資産の分野では、やはりアメリカが世界でも群を抜いた輸出国である事は間違いない。まあ、欧州はあんまりアメリカが好きではないから、ひょっとしたら欧州へのエンターテインメント輸出より日本一国に輸出されてる額のほうが多いのではないだろうか。

日本には、放送や映画に限らず、音楽やファッション、ファストフードチェインにいたるまで、アメリカ産の文化が嫌と言うほど輸入されてるものなあ。


ひるがえって日本のエンターテインメントでアメリカや世界に輸出されてるのはなんだろうか。映画では、最近、カンヌで賞を取った「うなぎ」やベネチィアではビートたけしの十年一日のヤクザ映画(名前失念)なんかが日本のニュースをにぎわしたが、商業ベースで採算が取れるほどヒットするとは思えないなあ。

「Shall we dance?」は、古今を問わない映画の文法をきっちり守った佳品だとは思うが、ちょっと文化のギャップによる齟齬をきたす場面が多いのではないだろうか。文芸春秋に載った監督のインタビューによると、アメリカのプロデューサーは、日本の普通のサラリーマンが、社交ダンスを習う事を誰にも隠す気恥ずかしさ(それが映画全体のユーモアや筋立ての大きな伏線になっているのだが)を最後まで理解できなかったらしい。

まあ、アメリカで一番成功した日本映画は「ゴジラ」でしょうか。誰でも知ってるものね。黒沢明は映画オタクなら知ってるだろう。唄だと坂本九の「スキヤキ」。あとは今や、どこのセルビデオ屋でも沢山置いてある「ジャパニメーション」、アニメかな。広義のエンターテインメントと言うと、プレイステーションやニンテンドーなんかのビデオゲームもアメリカを席捲しているのは事実なんだけど。

しかし、ゴジラに「上をむいて歩こう」にアニメに、TVゲーム、それとフジヤマ、ゲイシャガールス。「これが日本だ」と言われると、どうも、ちょっと同意しがたいなあ。文化面では対アメリカでは日本の大幅な輸入超過と言う事でしょうか。輸入を減らすか、輸出を増やすか。アメリカ文化の輸入はもはやストップできないだろう。そうしたら日本文化の輸出? う〜ん。そんな事できるかなあ。ま、少なくとも日本の映画はもっと頑張ってほしい。確かにだいたい面白くないんだけどさ。