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2004/08/18 「ナベツネ、長生きしてくれ」と誠心誠意。

今週の週刊文春、「巨人軍 渡辺王国の崩壊」を読む。なぜナベツネは突然に巨人軍オーナーを辞任したかの真相を探るもの。この記事によると、「たかが選手」発言に義憤を感じた民族派団体が巨人のスキャンダルを情報収集したのだという。ドラフト対象選手に金を渡した違反行為のネタを掴んだこの団体が球団事務所に乗り込み、事務所に街宣をかけた。この事件が伝わり、ナベツネは、球団社長以下に「お前らはみんなクビだ、オレも辞める」と激怒して辞めたのだとか。まあ、最近の発言が世の中の反感しか買ってなかったのは、いくらなんでも本人も分かっていただろうから、もういい加減イヤになってたのかもしれない。

もっとも、読売新聞グループ本社の会長にはそのまま座りつづけるのではないか。「渡邉恒雄 メディアと権力」(魚住昭/講談社)を読むと、そもそも読売新聞には「老害」の伝統がある。ナベツネ本人も、94歳まで読売新聞に君臨した務台光雄に徹底的に仕えることで今の権力の座を手に入れたのだ。死ぬまでやって何が悪いと思っているのではないか。

「務台さんが死んだらなんて思っていたら顔に出る。信任を失う。僕はいつも「ジイサン、長生きしてくれ」と祈っていた」
というのがこの本にあるナベツネの発言である。上には徹底的に仕え、下には厳しく。サラリーマン社会でのし上る哲学を体現したかのような人生でもある。

盟友、「大勲位 中曽根」も議員引退したのだから、ご本尊もそろそろ引退したらと思うが、読売新聞にはそれを進言する下はいないんだろう。よその会社の老害経営者は批判するが自分のところの独裁ジイサマだけは例外。きっと皆、「ナベツネ、長生きしてくれ」と祈りながら誠心誠意仕えているのだろう。ご苦労さまである。そうそう、この「メディアと権力」。ずいぶん前に読んだが、面白い本。さっき本棚から引っ張り出してきたので再読するか。