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2003/12/02 「わだつみの声」は、平和ボケした我々にはもう聞こえない。 

本日は、某同業者団体の忘年会。業種がら海外駐在経験者が多い。ロンドン駐在7年だったという臨席の某社部長にあれこれロンドン話を。イラクのテロで亡くなった日本人外交官とはロンドンで顔見知りであったと聞く。世界も狭い。被害者のご冥福をお祈りしたい。

イスラムの自爆テロが狂気と感じる日本人も、たかだか50数年前には、若い航空兵を爆弾と共に洋上のアメリカ航空母艦に体当たりさせんと特攻させていたのだ。アラブのテロを狂気と呼ぶなら、第二次大戦末期の日本も「カミカゼ特攻」の狂気に憑かれていた。「9.11」を起こしたアラブのテロリストに、「オレ達は昔の日本を真似してるだけだよ」と言われたら我々はどう答えるか。気が重くそんな話もしながら。「わだつみの声」は、平和ボケした我々にはもう聞こえない。

メディアは、外交官テロでとたんに騒いでいるが、騒乱状態の国なのだから、本来はある程度予見できたこと。このテロと自衛隊派遣問題は、本来関係無い。いや、派遣してよいと言ってるのではない。日本の真の国益が何かを考えずに、単なる米国追従で自衛隊を出すのはおかしいと言ってるだけだ。

もしも必要なら、まず憲法を改正してから堂々と国際社会貢献として軍隊を派遣しようではないか。それが本来の筋だ。そして、それは現在の状況では、決して不可能ではないように思えるのだ。土井たか子のように、ただ「護憲」「護憲」と叫ぶ輩は、本当は国益を損なっている。それはちょうど「護国」を叫んだ輩が、第二次大戦で日本を焦土にし、幾多の若人を特攻に向かわせたのと同じだと言うのは言い過ぎだろうか。

なぜ自民党は、国民にロクな説明もせず、ただ「国際社会の一員としての貢献」というだけで自衛隊の派遣を既成事実としたいのだろうか。世界で火の粉があるのはイラクだけではない。紛争、無政府状態があるところなら、我々は本当に、クラーク・ケントのように、いつでもどこでも世界中に飛んで行くのか、たとえアメリカに要求されなくとも? その覚悟も能力も、実は日本にはないのに?

早く派兵しないと、ブッシュやアーミテイジから脅されて、日米同盟が大変なことになる? 日本はアメリカの嫌がらせで大変なことになる? それは亡国の道? 果たしてそうかねえ。

アメリカに対してはいくらでも反論がある。「そもそもは、お前らが戦後に押しつけた平和憲法なるものがあるから海外派兵はできないんだよ。国民的合意を得て憲法を変えてからでないと海外派兵はできない。そんな事も知らないのか。そこをちゃんと筋を通してやろうと一所懸命やってるのが分からんか! 過去の事情も何も知らんお前らは黙っとれ!」とブッシュやアーミテイジに反論するのが政権にある自民党の本当の義務だと思うのだが。

日本国内では権力の座にふんぞり返って好き放題やってるが、アメリカには道理の通った文句ひとつ言えない。自民党は、ずっとなしくずしの「ポチ外交」で行くつもりだろうか。太平洋の海の底に藻屑と沈んだ「悲しき護国の鬼」たちが今の日本を見たら、ずいぶんと悲憤慷慨すると思うがなあ。いや、それが正しいかどうかは別として。