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2003/06/16 16億円の退職金をポン。

ソニーが大賀名誉会長に16億円の役員退職慰労金を贈呈というのは、先週あたりちょっとしたニュースになった。上場企業とはいえ、個人別の役員退職慰労金の金額が社外に明らかになるのは日本では珍しい。

商法施行規則には、退職慰労金支給規定を株主の閲覧に供していれば株主総会では具体的な金額・支給時期まで決めずともよいと定めてある。規定を会社にまで見に来る物好きな株主などほとんどいない。経団連など財界からの要望・陳情もあってこういう規則になってると思われるが、総会屋を気にしなければ、実質お手盛り自由ということだ。(もっとも法人税法上では法外な支給には問題があるのだが)たいていの企業では、株主総会に「金額は取締役会一任」で議案を出すのが普通だろうか。

ソニーという企業は日本企業にしては先進的なところがあって、個人別内訳は開示してなかったものの、従来から役員退職慰労金の総額を株主への召集通知上で開示していたらしい。今回は退任取締役が大賀氏だけだったため、結果的に個人別開示を行ったのと同じ結果になった訳である。

ま、他人事であるが16億円が高いか安いか。大賀氏は声楽家から実業界入りという異色の経歴の持ち主であるが、日経に連載されていた「私の履歴書」など見ても、いろいろと斬新な発想でソニーの事業拡大に貢献したようだ。在任期間も長い。

退官したキャリア官僚が、自分の役所で作った天下り先を何もせずに渡り歩いて退職金だけ何億円ももらう。官庁の外郭団体・特殊法人は、ほとんど税金でまかなわれてるわけであるから、ハッキリ言って公然と行われている税金泥棒である。それを考えたら、民間企業の功労者が自分の働いた会社からこれだけもらっても、まあ妥当なところではないだろうか。

でもって、本日、会社で日経金融新聞見てたら、大賀氏はこの退職慰労金を、余生を過ごす場所である軽井沢町に全額寄付するのだそうだ。お金は冥土まで持って行けないのは誰でも分かっている真実だが、たいていの人は持って行こうとする。16億円ポンと寄付とは、なかなかできることではない。エライもんですなあ。他の経営者も見習うべきであるな。もっとも、役員としての在任期間中に、余生を過ごすには十分過ぎるほど貰ったということもあるんだろうが。