MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

2003/03/16 DNAが解き明かす

昨日の夜は、フジテレビ系で「それは運命なのか奇跡なのか! DNAが解き明かす人間の真実と愛」というのを見た。なんか安直な作りを伺わせる題名ではある。

ミトコンドリアDNAから共通の祖先を持つと思われる女性の住む外国の僻地を訪問するお話は、いかにも民放らしい安易なお涙頂戴の作り。auのCMに出てる聾唖の女優を使うのも、あざといと言えばあざとい。別にDNAにからめず、「世界なんとか滞在記」のような番組として放送すればそれでよかったのにな。

心肺同時移植を受けた女性に、ドナー(移植元)の少年の記憶が宿った、というお話は、マユツバであるがなかなか面白い。ただ、これは有名なエピソードで、他の本でも読んだことがある。

移植後に食べ物の嗜好や生活態度が変った件については、説明は色々と考えうる。、中年女性の体に少年の心肺を移植した大手術であるから、ホルモンの変調や免疫抑制剤の副作用など、むしろ体質が変らないほうがおかしい。不可思議な点というのは、女性の夢にドナーの少年が出てきて名前を名乗り、それが後で調査した実際のドナーの名前と一致していたという一点だ。心臓にそのような記憶がやどっているのか。

おそらく、手術の際、準備段階の麻酔で半覚醒状態にあったこの女性は、手術室でドナーの名前を無意識のうちに聞いて記憶していたのではないだろうか。執刀前に医者がドナーが脳死に至った状況や年齢などの個人情報を確認し、その際にカルテの名前も読み上げられるという状況は十分想定できるのだが。むしろ無意識下の記憶に関する問題のような。

DNA異常が引き起こす難病プロジェリア。通常人の10倍近くで老化が進み、平均13歳で動脈硬化からくる心筋梗塞で死亡する、8百万人にひとりという奇病。この病気にかかったアメリカの少女アシュリーを扱った最後のエピソードは、実に悲痛だった。未成熟のままに急激に老衰した不思議な容貌。しかし、「周りの人にはみんなハッピーでいてほしい」、「生まれ変わっても、多分、今の自分でいいわ」と語るこの少女は、実に利発だ。肉体の急速な老化と共に、知性も成熟し老成するのだろうか。プロジェリアの研究は、DNAに組み込まれた人間の老化の仕組みを、いつか解き明かすかもしれない。