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2000/11/18 通訳は大変 / 個人の公平か州間の公平かを問う

木曜日は、仕事のほうはのんびり。しかし、例のアメリカ人弁護士軍団との打ちあわせの通訳をやってくれと突然頼まれて、3時から会議室に缶詰。日本の役所やらアメリカIRSの絡んだ込み入った話なのだが、日本語での話というのは主語がひんぱんに省略されると共に、文意が実にあいまいで、何度も確認しないといけない。

「Y部長、その”駄目”というのは、Y部長の個人的見解ですか、あるいは電話で話した時の役所のY氏の意見ですか、あるいはどこかにそんな規定があるという話ですか」、と何度も確認してからでないと納得の行く回答にならない。

通訳してみると実感するが、日本語の会議で繰り返されてる会話の大部分は、お互いの心情やムードを伝え合ってるだけで、正確なインフォメーションというものの交換が目的ではないのである。反面、アメリカ人弁護士軍団は、水曜日の会議で聞き漏らしたこと、再度確認したいことをリストアップして会議に臨んでいるのだから、おのずから気合の入り方が違う。これは大変に疲れた。会議なんかで通訳するプロは本当に大変だろうなあ。

今朝、ネットでニュースをチェックすると、アメリカ大統領選挙は、法廷のほうでまだモメているようだ。どっちが勝つにしても、遺恨が残るよなあ。いっそのこと、Electoral college(選挙代理人制度)を止めて、全国のpopular voteの合計で決めればいいと思うが。

しかし、水曜の会食時に議論したアメリカ人弁護士の意見は、こうである。

各州の選挙代理人の数は、人口ではなく、各州の上院下院の数を基礎にして決まる。ここで重要なのは、各州には、その人口とはかかわりなく、2名の上院議員が割り当てられているということ。つまり、選挙代理人の数というのは、アメリカ人個人個人の1票の重みの公平を確保するというよりも、州の間の公平さを維持する方向に比重をかけて決定されている。これが州の間の独立性を確保する、アメリカがUnited Statesである所以であり、もしも単純な一般投票の合計にしたら、人口が少ない弱小な州なんぞには誰も遊説にすら行かなくなる。結果として、その州の住民の声が連邦政府に届く機会が失われてしまうのである。

とまあ、そういう話であって、いろんな考えがあるもんだと感心した。もっとも、そういう理想は別として、機械のカウントと手作業集計で勝者が変わりかねないという開票のオソマツさだけは改善したほうがいいと思うのであったが。