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1999/07/08 がんばれ税務署 税金をふんだくれ

本日は6時半に会社を出る。ひとつ前の駅で降りて郵便局に寄り、不在で受け取れなかった配達記録郵便の受け取り。VISAカードの磁気が弱って読めなくなったので再発行してもらったもの。この郵便局は24時間郵便物の受け取りができるらしい。ずいぶん郵便局のサービスも変わったなあ。

帰り道でとんかつ屋に寄って晩飯。上ヒレカツが1900円で、ご飯、味噌汁は別料金ってのも、ずいぶん暴利ではなかろうか。で、カウンターに座ったが、他の客は後ろのテーブルにいる50過ぎのオバハン2人連れのみ。ビールを飲んでいると、うしろのオバハンの携帯に電話がかかってきた。

ま、別に他人の話を聞く気は無いが、他に誰も客がいない店では自然に話が耳に入ってくる。なにやらオバハンはマンションの売却価格について丁寧な口調で説明している。

「前に住んでたところが駅から4分の物件で、こういう物件はなかなか出ないんですよね。で、これが去年の末に7500万円で売れまして、それにちょっと手持ちを足してましてね」なんて話してるのを聞いて、どこからの電話か分かった。税務署だ。

高額な不動産を即金で買った人物にまともな納税履歴が無い場合、税務署から購入資金についてのお尋ねと称してハガキが来たり、電話がかかってくるのはよく知られた事実である。あれはやはり不動産屋に客のリストを出させてるんだろうなあ。

それにしても前の家が7500万円で売れてそれにちょっと足してなんて言うところを見ると、今度買った物件は1億円近いんじゃないだろうか。まあ、あるところにはあるもんだなあ。

ところが、相手の調査官がなかなか納得しない。あるいは予備調査でよほど所得に不審な点があるのか、電話は延々と続く。

「ですから、その前は、荻窪で美容院と全身美容の店をやってまして」

「いえいえ、ですから、その店は閉めたんです」

「売却なんてとんでもない、ただ商売辞めただけで、今は勤め人で…」

「え〜、ですから今の所得はですね、ひとつはわたし、株式会社XXXの役員でして」

「そこからのお給料と、もうひとつ相談役という形でお給料貰ってる会社がありまして…」

とまあ、話が進むうちに、どうも話が要領を得ず、脱税の匂いがプンプンしてくるわけである。後ろのオバハンをそれとなくうかがうと、デビ夫人似の派手な女性で、ま、若い頃からさんざん男の金を搾り取ったろうなあ、とうなずける印象だ。

聞けば聞くほど実に興味深い話で、最後の顛末まで聞きたかったのだが、ビール飲んで、トンカツ食い終わって、タバコを1本ふかしても、まだまだ話は続いているのである。本来ならば、電話が終わった後に、一緒に来てる友人らしきオバハン(これも派手派手のオミズ系)に何と話すか聞いてみたかったのだが、これ以上時間がつぶせそうにない。

それにしても、所得がすべてガラス張りのサラリーマンにとってはうらやましい話だなあ。顔見りゃあ一目瞭然。このオバハン、絶対脱税してまっせ。

だまされるな国税調査官。がんばれ税務署! 税金をふんだくってやれ〜! と心の中で応援しつつ店を出た。