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1999/04/18 「蘇える金狼」

「蘇える金狼」ってのは故大藪春彦の小説だ。大藪春彦は、日本の終戦の焼け跡に満ちた怨念やコンプレックスがその一身に凝縮したような、一種異形のデーモニッシュな作家で、良くも悪くも、大藪の前に大藪なし。大藪の後に大藪なしという印象がある。

で、昨日は珍しく野球中継を見ていたら、その後でSMAPの香取慎吾が主演で、この「蘇る金狼」がTVドラマ化されていたので、ちょっとだけ導入部を見た。しかし、タイトルバック直前の、主人公が秘密クラブに潜入するシークェンス見て爆笑。

セットもチャチだし、アクションも学芸会並。カット割もまるでシロウトの8ミリ映画を見るが如し。なんだかあれだな、正月の「オールスター隠し芸大会」の中で披露されるドラマを思い出した。

おそらくは大した予算が無いのだろうが、それにしても、あの冒頭の秘密クラブのシーンはあまりにも安っぽくお粗末だった。何の芸も無いガイジンを、ただ外国人だからといって使うくらいなら、もっと他のところに気を使ったほうがいいよなあ。金が無くてもいくらでも他に撮り様があると思うのだが、まったく工夫がない。

それしても、ああいうテレビのドラマにも、一応、プロの演出家とか、監督ってのは果たしているのだろうか。いるんだろうなあ。あんなのでスポンサーから金を取って儲けてるのだから、TV業界ってのもとんでもなくおいしい仕事だ。青年よ、ギョーカイを目指せ、といいたいな。

しかし、バブルが崩壊したとは言え、あんなのに喜んで金を出す馬鹿なスポンサーがいるのだから、逆説的に言うと、日本の景気も捨てたもんでもないかもしれない。もっとも、その制作費のツケは、回りまわって消費者である我々が買う商品に上乗せされてるのだから、そこがちょっとやりきれないなあ。

もっとも、SMAPファンなら香取慎吾見られればそれで満足なんだろうから、見る価値はあるんだろう。香取慎吾が悪いといってるわけではないので、そこんとこ誤解して抗議メールなどよこさないように。いやいや、香取慎吾本人は、なかなかよかったんじゃないかなあ。なんだかずいぶんシェイプアップしてたようだし。<エラそうなこと言っといて急に及び腰になるなって。<だって抗議メールなんてきたらかなわんからさ。