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1999/03/28 今更ながらアカデミー賞授賞式を見た

昨日は早めに日記をアップしてから、BSでアカデミー賞の再放送を見る。すでに結果は知ってるし、今更って感じだが、生中継は神戸に帰っていて見落としたのでしかたない。

アメリカ人はこういうお祭り騒ぎが大好きだから、演出も色々と凝っていてなかなか楽しめた。全体としては、外国語映画賞と主演男優賞を受賞したイタリア人、ロベルト・ベニーニのためにあったような夜だったな。

ひどいイタリア語なまりで、興奮すると何言ってるかわからないスピーチも、妙な味があって面白かった。外国語映画賞を受賞した時に、椅子に飛びあがって歩き出した時には笑ったね。やはりラテンの血だ。反面、ニック・ノルティは、ニューズウィークの下馬評では、主演男優賞の可能性高いなんて書いてあったのに、お気の毒。


作品賞を取った「恋に落ちたシェイクスピア」については、まだ見てないからどうのこうのは言えないが、少なくとも「プライベート・ライアン」は、ちょっと作品賞にはふさわしくなかったと思う。戦争の着弾や銃声にこだわってあそこまで再現できるのは、映像オタのスピルバーグならではだが、肝心のストーリーと人物ドラマがあの程度では、「トゥルーマン・ショー」のほうがずっとマシだ。

そういえば、ジム・キャリーは、プレゼンターとして登場していたが、心なしかジョークにも無念さが感じられたな。彼のようなアクの強い、破格にオーバーな演技は、古典的な演技を好む人々には嫌われるから、アカデミー取るチャンスなんて、あんまり巡ってこないだろうに。

まあ、スピルバーグのほうもアカデミーに嫌われているのは確かのようで、どんなヒットを飛ばしても無視され続け、「シンドラーのリスト」のような、ユダヤ系が牛耳る(もっともスピルバーグもユダヤ系だが)ハリウッドに明らかにおもねった作品を作って、ようやくアカデミー作品賞を取ったわけだが、こういう計算高いところもまた嫌われる原因かもしれない。

しかし、彼が紹介した、故キューブリック監督追悼のロールは、なかなか感動した。観客の半分もスタンディング・オベイションに立ちあがらない、毀誉褒貶の多いエリア・カザン監督に名誉賞をやるのだったら、キューブリックにやればよかったのにな。

マッカーシズムが吹き荒れたアメリカで、業界の人間を次々と密告したという経歴を持つ監督だけに、いまだに冷たい視線で見る業界人が多いのは無理もないが、すでにヨボヨボのご本人の、「I'm just slipping away」(私は消え去ります)って最後の言葉には、無残な老醜がかいまみえて、さすがに気の毒ではあった。