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1998/12/02 紫煙をくゆらせながら、タバコの税金について考える

今日は朝から冷たい雨まじりの嫌な天気。朝の車は冷え切って寒かったなあ。どうにも陰鬱な天気だ。うちの部門にあるサーバーが、ハードの故障でダウンして、通常の仕事は進まないし、国税から質問の電話があった回答作りは、さっぱり進まない。しかし、なんとかメドがついた。

食堂の自動販売機にタバコを買いに行くと、当然のごとく値上がりしている。ひと箱20円のアップでどれくらい税収がアップするのだろうか。

タバコの税金を旧国鉄の赤字解消に使うのは、はっきりいって筋違いだが、取りやすいことには違いない。ちょっとくらい値段が上がっても、やすやすとは禁煙できない。タバコの習慣性は、マリファナやコカインよりも強いらしい。これがコカインだったら、私もスパっと止めてるけどね。<嘘つけって。

しかし、一箱20円ってのも、絶妙な値上げで、もし、これが50%もアップしたら、禁煙や節煙が増えて、税収は逆に下がるのじゃないだろうか。きっと大蔵省には、今までの値上げのデータをシュミレーションして、タバコ消費が減らないギリギリの線で値上げの幅を決めた知恵者がいるに違いない。ま、そういう知恵は、他のもっと大きな事に使ってほしいもんだけど。

しかし、同じ増税するのなら、まったく関係ない旧国鉄の債務返済に使うなんてのは止めて、本来は、喫煙によって引き起こされる、肺ガン、食道ガン、や心筋梗塞などの病気の治療に費やされる社会的費用の増大に備えるべき、というのが正論だろうなあ。先月のニュースで聞いたけど、すでにアメリカでは、これが実行される。


アメリカのタバコ産業は、8つの州の司法長官の代表との交渉で、タバコに関連する健康被害に対して、今後25年間に渡って、2060億ドルの支払をするという提案をまとめたのだと言う。今後は他の州にこの提案を受諾するかどうかを確認するらしいが、連邦政府ではなく、各州とタバコ産業が合意するとすれば、連邦下院での議決は必要ない為、案外このまま成立するかもしれない。

しかし、2060億ドル。円に換算すると、1ドル120円として、25兆円近い。そんな金がどこにあるのかというと、もちろんタバコ会社は、今後25年かけて、毎年1兆円ずつスモーカーの財布から絞りとろうと言う算段なんですな。

しかし、この増税分が、ガンやその他の疾患の増加のようなタバコの害に費やされる社会的費用の補填に使われるのなら、それはそれで合理的な選択といえるだろう。増税で喫煙が減少すれば、それに由来する疾患も減って、社会保障関係の費用も減る。こういう時のアメリカの選択は、常に日本よりも合理的だ。

アメリカでの合意の、年間1兆円と言うと、ざっとアメリカ国民が2億人として、ひとり年間5千円。喫煙者はどれくらいいるだろうか。統計を調べるヒマはないが、日本よりはずっと少ないし、若年者を除くと、人口の3割もいないんではないだろうか。そうすると、スモーカー1人あたり1万数千円。この増税が今後25年間続くわけで、なかなか大変なもんだ。もっとも、タバコを止めれば、税負担をしなくてすむわけで、そういう面では、アメリカもますますタバコ離れが進んで行く事になるだろう。

フィリップ・モリスやレイノルズと言ったアメリカの巨大タバコ産業は、すでに国内のマーケットはあんまり当てにしてなくて、巨大な喫煙マーケット、アジアに輸出ドライブをかけている。増税分をアメリカ国内価格にすべて転嫁できない場合は、アジアへの輸出で稼ごうとするだろうから、結果として、アメリカでのタバコ賠償金をアジアのスモーカーが負担するような妙な事になるかもしれない。

まあ、タバコを吸う人間にとっては、どうも先行きいいことは無さそうだ。ひとつ禁煙でもするか。などと、お約束の紫煙をくゆらせながら、ぼんやりと考えているのだから、救いようがありませんな。