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1998/07/05 レッドカードに関する考察

ここのところ、ずっとワールドカップばかり見ていて、ちょっと感じた事なのだが、どうも「レッドカード」はサッカーと言うゲームの興味を削ぐような気がする。レッドカードと言うのは、重い反則をした選手に、審判が「コラ〜!」と呈示して退場処分にするカードですな。これを貰った選手は、ただちに退場で、次の試合にも出場できない。

なんのスポーツでも、無意味なラフプレイや相手に対する暴力行為、あるいは審判に対する暴言、反抗などは厳に戒めるべきものであって、こういう違反のうち、目に余るのものについて、違反したプレイヤーをその場から退場させる事には、まったく異議はない。野球や、アメリカン・フットボールでも同様の処置はあるんだし。


ただ、サッカーの大会のレッドカードがちょっと他のスポーツの退場処分と違う点は、退場処分になった選手の補充が、その試合に限って認められない点で、レッドカードを受けたチームは、1名足りない状態で残り時間を戦わなくてはならない。(キーパーがレッドカードを受けた場合は例外とされていて、別のキーパーを入れる事ができるが、かわりに別の選手を1名引っ込めなくてはならないそうだ)。

これは考えてみれば、他のスポーツとは比べ物にならない厳しい処分で、例えて言えば、巨人の松井が退場になったら、それ以降は外野は2名で試合をやれと言ってるようなもんで、これは大変でしょうな。外野は2人で大忙し。

今回のワールドカップでも、レッドカードが発行された試合は結構あって、きちんとした統計は見てないが、私が見たゲームに限って言えば、レッドカードを食らって勝ったチームは無かったような気がする。もっとも相手がそれ以上に食らって、殲滅戦になった場合はまた別だが。やはり、1名欠けて試合を続行するのは大変な不利だ。


しかし、こういった、試合の趨勢をほとんど決めてしまうような重い反則処分が、試合中の審判によって行われる事には、個人的にはどうも違和感がある。本当に審判がそこまでやっていいのだろうか。

「一発で試合の結果を左右するほどの制裁」の判断と言うものをリアルタイムに下す事を期待される審判も、それはそれで大変だし、同情もするが、審判のあり方なんてものをちょっと考えさせられる。レッドカードを連発する審判と慎重な審判では、試合の結果そのものが変わってきかねないしなあ。


もっとも、今回の大会では、後方からの危険なタックルは一発退場と言う方針が当初よりFIFAから示されていたらしい。しかし、最初のうちは見逃されていたような反則でも、途中から急に厳格にカードを連発しだしたような印象があるなあ。個人的に、感情的になってカード連発していたような審判もいたんじゃないだろうか。

ラグビーやアメリカンフットボールを見慣れた目で見ると、レッドカードを貰ったタックルでも、たいして危険には感じないが、プロの審判が反則取ってるのだから、きっとサッカーファンより私の感覚がずれているんだろう。しかし、どうも反則を取ろうと、わざと大袈裟に倒れて転げまわるような選手が沢山いるように見受けられるところが、ちょっといただけない。

不思議なのは、サッカーでは担架で運び出されても、すぐに戻ってくる事だなあ。NFLで担架が出動した時は、その選手はまず戻ってこない。実際に大怪我した例がほとんどなんだが。


レッドカードは今のままでもいいかもしれないが、一応、交代の補充を認めるてはどうだろうか。そうすると、制裁の意味も一応あるし、反面、偶然の反則一発で試合の結果がほとんど決まってしまうような味気ない試合が減少すると思うのだが。野球の退場だって補充が効くし、アメリカンフットボールも補充が効くからなあ。

もっとも英国生まれのスポーツは、みんな古い伝統があって、もともとサッカーでも近年まで、選手交代は一切認めてなかったらしい。怪我しようが、何しようが、最初の11人で最後まで戦い続ける。そういうのが伝統のサッカーらしい。監督は交代のタイミング図らなくていいから楽だよなあ。退場しても補充なしってのもそういう部分を引きずってるのかも。まあ、そういう伝統だったら、変えるのは難しいな。じゃ、いいや。