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1998/01/15 洋画の吹き替えは不要
雪に閉じ込められて暇なので、CS放送をあちこちとザッピングする。リチャード・ドレイファスの「Mr.Hollands' Opus」<邦題:日のあたる教室>を見る。どうもどこかで見た記憶があるのだが、思い出せない。UAの機内だろうか。普段はこういう感動の大作は、あまり見ないから。

アメリカの田舎街の高校を通り過ぎてゆく様々な若者達の人生と、ドレイファス演ずる音楽教師の、障害児を持った家庭内での葛藤がとてもうまく描けている。ドレイファスは別に好きじゃないが、確かにうまい俳優だ。

CSでいいのは映画がほとんど字幕だと言う事。吹き替えの映画はあんまり好きじゃない。こんな事を言って、世間を狭くしたくないけど(笑)、日本の声優と称する人達は、みんなとんでもなくヘタじゃないですか? あれならたとえ字幕なしでも、オリジナルの音声だけのほうが絶対にいいと思うけどなあ。なにしろ外国語とは言え、ちゃんとした俳優がやってるんだから。


地上波でたまに吹き替えの洋画を見るたびに、あの妙にクセのある声優のしゃべりかたにげんなりする。だいたい、子どもの声は全部大人の女性が作り声で吹き替えるなんてお約束も考えてみればヘンだ。声への感情の入れかただって、たいがい大袈裟すぎる。アニメはまあ声優がいなけりゃ声が出ないから、百歩譲って許すとしよう。しかし、TVでクリント・イーストウッドが、ルパン三世と同じ声でヨタなしゃべり方をすると幻滅するんだなあ。これが。<でも、確かこの声優は亡くなったんですよね。

あとは日本語訳のセリフにも大いに問題があると思う。英語でしゃべった事を、同じ秒数で日本語でしゃべれるかと言うと必ずしもそんな事無いから。しゃべり言葉で外国語の意味を「同じ秒数」で置き換えるのは確かに骨が折れる事だろう。だから声優が「ヨーイドン」で、早口言葉みたいに息せき切ってしゃべったりする訳だ。

映画の字幕はさすがにこの辺の問題はよく考えられていて、大胆な意訳や短縮形の使用、漢語の使用なんかで乗り切っている。あれはセリフでは無く、目で読む訳だから、かならずしもしゃべり言葉にこだわっていない分、逆に無理が無い。

学生時代にさんざん映画を見てた頃、岡枝慎二と言う字幕家の翻訳がなかなか好きだったが、いつしか目にしなくなってしまった。もう亡くなったのか。最近はどこでも字幕は戸田奈津子ばっかり。年間何本やってるのだろう。しかし、この人は、キューブリックの「フルメタル・ジャケット」の字幕では、新兵訓練の鬼軍曹のセリフをあんまりお上品に翻訳しすぎて、キューブリックに解任されてしまったんですね。

キューブリックは、戸田が訳した日本語の字幕原稿を事前に入手して、もう一度その日本語を第三者に英語に翻訳させて自らチェックしてダメを出したそうだ。普通ここまでやるかね。ま、キューブリックならやるだろうなあ。しかし、TVだって吹き替えの俳優を雇うより、字幕でやるほうが費用がかからないと思うけど。