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1997/08/05 アメリカの人種差別

今日もなんだか涼しい一日。なんだか拍子抜けの夏。昼飯に冷やし中華を頼む気にならない(笑)

会社のキッチンにコーヒーを注ぎに行ったら、壁に「BONSAI EXHIBIT」なんてポスターが貼ってある。「BONSAI」は日本の盆栽のことで、そのまま英語でも「ボンサイ」。実はうちの社内で法律顧問をしているアメリカ人弁護士が、大の盆栽好き。彼の盆栽も出品する模様。MIDWEST BONSAI SOCIETYの主催で、日本から有名な人がきて模範展示をしたり、ワークショップもあると書いてある。ボンサイ・ワークショップねえ。

まあ、アメリカ人で盆栽が好きなんて珍しいが、彼に言わせると、結構その道にハマッたアメリカ人が大勢いるのだそうで。ちゃんと盆栽マニアの為の雑誌もアメリカで刊行されていて、展示会もあちこちであるとの事。彼の持っている盆栽は全部カリフォルニアのボンサイ・ファームから取り寄せたものだそうですが、なかには日本から直輸入した高価な盆栽を持ってる人もいるそうで、ただし、植物検疫があるので、輸入通関が大変なのだとか。まあ、アメリカ人にも色々いるなあ。

さて、昨日、日本の読者の方がメールを。 「ふざけるなアメリカ人」と言うサイトを紹介したい、と言う事。実は、私は以前にページ読んだことがあるんですが、基本的に日本人のアメリカに対する過大評価を正し、人種差別の現状をリポートするもの。かならずしも全て賛成ではないのだけど、まあ、こういう意見もある、という程度かなあ。

確かに、日本の広告を見ると、やたら白人が氾濫しており、このような無条件の白人礼賛は、実は劣等感の裏返で、あまりほめられたものではない。そしてアメリカは決して夢の楽園ではないし、人種差別が存在する事も事実。教育にしても色々と問題をかかえている。そういう現実を直視するなら、このサイトで述べられている事はおおむね正しいかもしれない。

もっとも、この著者も用意周到に、反論に準備して書かれているように、すべてのアメリカ人が人種差別をする、という訳ではなく、人種的偏見を持たないよう努力しているアメリカ人が多数いる事も忘れてはならない。社会政策としても、アメリカ流の単細胞で強引な手法ではあるが、大学に人種別の合格枠を設けたり、雇用差別禁止の法律を制定する事によって、外国からの留学生や移民者が恩恵を受けているのも事実。日本の部落差別撤廃に日本政府が何か対策したのかを考えるなら、アメリカのこの種の政策は高く評価されるべきかもしれない。

まあ、人種差別については、もちろんその存在は認めるが、個人的には、こちらに4年半いて、さほど腹の立つような事に出くわした経験なし。最初の2年半がシリコンバレー駐在だったのもよかった。サンフラン・ベイエリアは伝統的にアジア系が多いし、カリフォルニア全体でも白人がそろそろ半分を切ると言われてるくらいで、アメリカ南部のような極端な差別意識は少ない場所。だいたいスーパーやデパートのレジ係りや売り子だって白人なんてめったにいない。シカゴ郊外に引越しした時は、白人がスーパーのレジ打ってるのでびっくりしたなあ(笑)。

しかし、このシカゴ北西郊外でも、この「ふざけるなアメリカ人」への投稿にあるような、レストランやスーパーで順番を抜かされたなんて経験はない。うちの上司は、一度レストランで先に待ってるアメリカ人に割り込もうとして大ひんしゅくを買ったことあるけどね。<白人も、アジア人が我先に割り込もうとするのには心底驚いたろう。<単に常識ないだけ。ははは。

もっとも、もし、順番を飛ばされたら黙ってませんよ。呼ばれた後ろのアメリカ人を、ちょっと待って、私の順番です、と制しておいて、俺がアジア人だから順番をスキップしたのか。それならあなたのスーパバイザーと話をしたい、と相手を詰問するべきだ。しかし、ここまでやるのは、本当にそれが差別であるとの確信が必要。例えば10アイテム以下のスーパーのレジの列に沢山はいったカートで並べば、順番が飛ばされても当然で、こんな時に「俺がアジア人だからか」なんて激怒すると、「列が違うのよ、列が」なんて軽くいなされて、振り上げたこぶしを降ろす場所なく、大恥をかくハメになるだろう。

さて、これは何かの本で読んだ話。アメリカに来たばかりであまり英語の得意でない日本人が、陸運局の窓口に並んでた時の事。自分の番がきて、たどたどしい英語で用件を説明するものの、相手の黒人女性は露骨に嫌な顔をして、話を聞く様子がない。そのうち、私にはあなたの英語は理解できない。なんで英語もしゃべれないのにアメリカに来るんだろう。次の人どうぞ。なんて言い出した。泣きそうになって出直そうと彼が思った時、後ろに並んでいた白人の男性が、「私には彼の英語はちゃんと理解できるぞ」と言ってくれた。その後ろのおばちゃんも、「その通り」、と助け船を出す。結局窓口の女性はしぶしぶ手続きをしてくれたそうです。ま、いい人もいれば悪い人もいる。月並みですが、それが真実。