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1997/07/20 インテルチップの欠陥と計算の出来ない私。

なんだか財布がかさばるので、俺もそんなに金持ちになったかと調べてみると、なんの事はないカードで払った色々な控えが沢山残っているだけ。そうそう、QUICKEN(財務ソフト)に入力するのを止めてしまったから、そのまま随分たまっているんだ。一応カード会社から請求がくるまでは財布から出して保存しておくべきだろうなあ。

デパートやスーパーのレジで使った分については、一応オンライン処理がなされているから、まあ金額の間違いは少ないが、飲食店の場合、レジトータルに自分でチップを記入して、再合計も自分で記入する為、結構、自分でも計算間違いがある。時には、チップ+請求合計が合わないので、店が請求時に修正したりしている事もある。

アメリカで飲食店に15%程度のチップを払うのは、日本でも周知の事だけど、実際に支払う身になってみると、特に酔っ払っていて、大人数の会食費を立て替える時などは、計算が大変。865ドルの15%なんてすぐには暗算できない。しょうがないので、筆算で計算するけれど、社内の宴会だと、横で覗き込んでる奴が、それじゃ多すぎるだの少ないだの必ずうるさい事を言う。セールス・タックス分にはチップを払う必要ないから、タックス加算前の金額を元本に計算しなきゃダメと力説するのもいる。(これは実は、昨日の日記にも登場した香港から来た大人(たいじん)の持論。時間にはルーズだけど、金には細かい。はは)


自慢ではないが私は計算には強くない。もっと本当の事を言うと、日本人ならだれでも知ってる九九(くく)の暗記に難があって、これが、私の計算能力を低下させている。話は、小学生の時に遡るが、何年生の時だったかに、腹を壊して病院に行くと自家中毒とかなんとか言われて一週間ばかり学校を休んだ。

元気になって学校に行くと、皆があちこちで、変な呪文みたいな物を唱えている。「ににんがし、にさんがろく・・・」 そこで友達をつかまえて何なのか聞いてみると、「これは、くくっていうんやで〜。」、(ここらへん回想シーンなんで関西弁ね)と教えてくれたのだが、「くく」とは何の事か分からない。「さんすうで、ならうんやで〜。」、と言うので、その日の算数の授業を楽しみにしていたら、教師は、授業を始めるなり、「さあ、では5の段を皆で言ってみましょう」と、とんでもない事を言う。もっと驚いたのは、級友たちが全員、「ごにがじゅう。ごさんがじゅうご」となにやらさっぱりわからないお経のような呪文を唱え始めた事だった。

後になって考えれば、ちょうど休んでいた時に学校で九九の授業が始まっていただけの事だが、しかし、クラス全員がわけの分からない呪文を得意になって大声で唱える時に、なんの事か分からず、たった一人クラスに紛れ込んだ異邦人のように唖然としていた、あの疎外感は今でも思い出せる。

結局、家に帰って親に話すと、そんな事もまだ習ってなかったんかいな、と説明はしてくれて考えてみれば教科書にも書いてあったのだが、なんでも砂に染み込むように覚えてしまう年代の数日の差と言うのはなかなか大きいものがあって、それからしばらくは算数が嫌でたまらなかった。

しかしある日、教科書を見ていた私は、天啓のようなひらめきを得た(笑)。9X9全部覚える事なんかあらへん。(この辺、回想シーンなんで関西弁)要するに、2X7も7X2も同じやから、半分覚えたらすむこっちゃ。もうひとつの天啓もすかさず襲ってきた。要するに、7X8がわからんかっても、7X7を覚えてれば、それに7を足したらええこっちゃ。そうすると半分も覚えんでも全然用がたるやん。(まあ、コンピュータは掛け算も全部加算でやってるなんて聞くから、同じようなもんだが、計算能力が桁違いだからなあ)

今にして思えばこどものあさはかな知恵だが、後悔先に立たず(笑)。九九に関しては、その後の人生を、その時打ち立てた方針にのっとって、ずっとやってきた。数年前、インテルのチップに欠陥があると騒がれた時、思い出したのはその事。ビジネス誌によると、計算を高速化する為、特定の計算式の中間値をチップの中に記憶しているセルがあって、その値が、設計か製造上のミスにより書き込まれていなかったらしい。じゃあ私のCPUも同じだなあ。はは。

しかし、人間の頭脳はCPUよりずっと融通が効く。私のCPUの九九のセルをチェックしてみると、普通の人なら、全部、いわゆるnumericで数字が埋め込まれているはずの部分に、7X9を参照せよ、とか、7X3に戻り、それに7を加算せよ、と言う命令が代りに書き込まれているわけだ。ですから、インテルチップのように間違いを出すわけではなく、ただ時間がかかるだけなのであった。<それがそもそもの欠陥や!。

こんな事を書くと、それ以降の学校で、数学では劣等生だったろうとお思いのかたもいるだろう。しかし、数学と言うのは、暗算能力は勿論あったほうがいいに決まってるが、それががすべてではないんですな。はは。努力の甲斐あって、共通一次試験の数学Tでは200点満点で180点だったし(ま、この年は、非常にやさしかったのも事実)、2次試験でも論述式の数UBなんてのがあり、微分と空間座標とベクトル等の、今では設問すらチンプンカンプンの3問をきちんと全問回答して(ただ、空間座標の回答は、試験場から出たところで、予備校の模範回答を見ると、スッカラカンに間違っており、青ざめたなあ。係数がいつまでたっても割り切れなかった訳だ)大学には現役で合格したのですから、自分で自分をほめてやりたい、とこう思うわけですね。

時折、日本には、分数の計算、つまり、約分や通分が分からない高校生がいるなんて聞くたびに、ひょっとして、小学校の時休んだんじゃないかなと同情しますな。日本のお母さんは、子どもを小学生の時、長く休ませるのは、考えたほうがいい。まあ、アメリカには、普通にやってて、約分や通分が分からない高校生はもっとたくさんいるのだが。