MADE IN JAPAN! 過去ログ

MIJ Archivesへ戻る。
MADE IN JAPAN MAINに戻る

1997/07/01 ちょっと哀れなマイク・タイソン

今日も晴れだが、蒸し暑い。まあ、でも金曜日が休みだから4日働けばいいだけで、ちょっとは気が楽だ。隣の部屋の人事マネジャーのオバチャンは、金曜日が休みだから繰り上げて木曜日をカジュアル・デーにする事を急に思い付いて上司のOKをとり、あちこちの事務所に連絡している。なかには金曜の夕方から旅行に行く人もいるだろうから、なかなかいい思い付きだ。

昨日のTIMEの続きをぱらぱら読んでいると、アメリカの火星探索機がこの金曜日に火星に到着して、無人自動車をパラシュートで表面に降ろして、画像を送ってくるらしい。火星を初めてドライブするのはアメリカ製の車だ、なんて書いてある。なるほど、この分野では日本車はまだまだですな。いくら安く作ってもロケットがないとね(笑)。

2004年までには、火星の土を地球に持ってかえる計画が進行中で、わざわざ独立記念日にあわせたのは、国民の眼を引いて、予算をさらに獲得しようとするNASAの思惑かもしれない。送信してきた映像はアメリカ時間午後6時頃(日本では土曜の朝8時)からリアルタイムでWEBで見れるそうですから、興味のある人はNASAのサイトにアクセスをどうぞ。URLは、私も知らないので、各自お調べください(笑)。

さて、ちょっと出遅れた話題だが、今朝のこっちの新聞を読むと、マイク・タイソンがずいぶんマスコミに叩かれて、リング外でダウン寸前。話がどんどん大きくなってきたようだ。噛み付いて、相手のボクサーの耳を噛み千切るなんて、反則なんでもありの、アルティメット大会でも禁じ手だ。確かに、許されるものではないが、今や、あちこちからバッシングされて、獣(けだもの)扱い。クリントン大統領までコメントを求められて、一ボクシングファンとしては許し難いことだ、なんてコメントしているほど。ボクシングに対する冒涜で、ボクサー資格を永久剥奪しろなんて声もあるようだ。

雑誌なんかに載る、アメリカのスポーツマンの所得ランキングでは、大抵、ボクシング・ヘビー級の世界チャンプが一位になる。へたをすると死ぬ事もある試合に勝利した、世界一強い男なのだから当然と言えば当然だが、プロモーターにとってもとてつもないビッグ・ビジネスに違いない。

しかし、大抵の場合、チャンピオンになったとたん、金に群がって押し寄せてくる大勢の人間に、世間知らずの腕っ節が強いだけの若者は、祭り上げられ、有頂天になり、そして堕落する。ファンは常に新しいスターを求め、ベルトを失ったとたんに、彼はきらびやかな表舞台から去ってゆかなければならない。

ヘビー級で、一度失った王座を奪回する例は非常に少ない。何度も不死鳥のように王座を奪回したモハメド・アリは別格だが、彼にしても、現在の病状は、パーキンソン病と言うよりも、むしろパンチを浴びすぎた後遺症ではないだろうか。全盛期の時は、コックや奇術師や、単なる友達などの取り巻きを何十人も引き連れて全世界を興行して回った。その世紀のスーパーヒーローも、今は歩くのもやっとの無残に零泊した姿をさらしている。

スラムでの生活以外には、何も世の中の事を知らずに、少年院でボクシングを習った黒人少年が、史上最年少で世界ヘビー級の王者に上り詰める。絵に書いたようなアメリカン・ドリームだが、タイソンの、その後の転落に次ぐ転落の軌跡はどんなヒーローでも使い尽くし食い尽くしてしまう、ボクシングと言うアメリカの、残酷極まりない巨大ビジネスの祭壇に捧げられた犠牲の子羊のようにも見える。

月曜のマスコミへの謝罪会見では、金の匂いがすれば地の果てまでも駆けつける、さすがのドン・キングも姿を見せず、タイソンひとりだけ。もはや金ヅルにはならないと見限ったのか。20才で世界チャンプになった彼も、もう31才。なんだかちょっと哀れだなあ。でも、ペイパービューに金を払って試合を見ないでよかった(笑)。