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1997/06/26 社内電話システムを変えた時の大騒動

2ヶ月程前までかれこれ2年ばかり、QUICKENと言う財務ソフトを使って、カード使用の履歴や小切手支払等のすべての決済を入力して残高の管理をしていた。しかし、出張が続いて領収書も散逸し、入力がもはや追いつかなくなった為ついに使用中止。各口座残高や、クレジットカードの債務等をグラフで一覧できたり、なかなかの優れものソフトで、日本の口座までドル換算してこまめに入力してたんだけど、いやー終わる時にはあっけないもんだ。

そんな訳で、現在の銀行口座残高が分からない為銀行に電話した。この銀行は、BANK BY PHONEと言って、残高の照会や貯蓄口座への資金移動、ローン・クレジットカードの決済などが、プッシュホンでの入力だけでできる。アメリカでは、他にも航空会社などの到着時間問い合わせや、クレジット・カードの残高確認、タクシーやゴルフコースの予約等、電話とコンピュータが接続されていて、処理できるシステムが色々ある。

一般の会社でも、代表番号に電話すると、自動受け付けシステムが録音の声で、内線番号を入力して下さい、と応答する所が多い。うちの会社も4年前に、電話の自動受け付けと各個人の内線にボイスメール(留守番電話機能)を取り付けたが、特に自動受け付けについて、日本の本社からは苦情が殺到した。

今までは、誰かしら人間が応答していたので、言っている事がわからなくとも、相手の名前を言えば、そこに接続してくれた。ところが今度は、自動受け付けの録音の声を聞いて自分で色々番号を押さなければいけない。確かに電話で英語を聞くのは面と向かって聞くよりも何倍も難しい。

特に、電話のキーの右下にある、「#」 を、pound(パウンド)、左下の「*」を、star(スター)と呼び、番号だけでなくこれを#=Enter、*=Cancel、として押させるシステムが多いのだが、この名称が、日本人には通じなかった。

「Please enter extension number and pound sign.」(内線番号とパウンドサインを押して下さい)、と言えば、例えば内線が225なら、225の後に「#」を押さなければならない。受け付けにつながる抜け道もあって、「If you would like to talk to an operator, press star.」、とアナウンスがある。つまり「*」を押せば、いつでも受け付けに転送される。しかし、パウンド、スターと言う呼び名は、日本では一般的でなく、日本からの電話で理解できる人はほとんどいなかった。

「シャープ」と「アスタリスク」と呼ぶべきだ、なんて余計な意見(笑)を、わざわざ日本から送ってきた人もいたが、アメリカでは誰もそうは呼ばないので、そんな事をしたら今度は、アメリカ人が大混乱だ(笑)。最近は日本でも、電話とコンピュータが結びついたシステムが増えてきたと思うが、この記号はなんと呼んでいるのだろう。(#を井桁<イゲタ>と呼ぶ人もいるでしょうが、英語のpoundも囲いと言う意味なので、同じような、見てくれからの用法だなあ。)

それ以外にも、ボタンを押す際の指示語が、「enter」、「press」、「hit」、「dial」と色々あり、要するに、全部、電話のボタンを押す事なのだが、これも日本人が聞き取りつらかった原因のようだ。(英語には、一般に、同じ単語を、同一センテンスで、繰り返し使うのを嫌う傾向があり、普通にnativeに話させると、最初にenter を使うと、次に、press、と言い換えたりする。ちょっと日本人には迷惑な話ですが。)

そこで、しょうがないので、自動受け付けシステムの会社と相談して、最初のアナウンスの最後に、「If you would like to hear this message in Japanese, press "1"」(このメッセージを日本語でおききになりたい場合は、”1”を押して下さい)と付け加え、1を押すと、日本語で同じ事を繰り返す事にした。ところが、日本からの不評は解消できない。よくよく考えてみると、この最後の英文のメッセージそのものが聞きとれなければ、1を押して日本語にたどり着く事ができないのだ。

まあ、結局、本社の色々な部門から、文句を言われたが、ひたすら堪えて、社内の電話帳に、無条件に、「1+1+内線番号+#を押してください」と記載して、その通りやってもらうしか方法がなかった。本来は、この自動受け付けシステムは、内線を知らなくとも名前で検索できる便利な機能もあるのだが、日本の電話機には、ボタンにアルファベットが記載されていない為使う事ができない。

全員の内線に付けたボイスメールについても、日本からは、どうしても人間と話したい(笑)なんて言う、(わからないでもないが)理不尽な要求もあって、手を焼いたが、長くなるのでまた思い付いた時にでも。