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2007/01/18 肌寒い受験の春は慌しく行き過ぎて。

そうか、今週末がセンター試験なんだ。

私の年代は、その昔、共通一次試験と言われた時の第一期生。試験会場は、自宅から電車で何駅か離れた市立大学だったのだが、ちょうど駅で高校の同級生と一緒になった。いつも教室であれこれ話してた仲良しだったから、試験前の緊張をほぐすためにつり革につかまって、あれこれまたバカ話をした。

「普通は浪人生のほうが1年余計に勉強してるから強敵だけど、今年は逆やな」
「え、なんで?」
「だって、去年の浪人生は、旧過程の試験に落ちてから、あわてて5教科7科目の試験の準備しとるんや、間に合うはずないがな」
「あ、そら、そうやなあ、我々は最初から、学校でも7科目前提で勉強してるもんな」
「だから、準備万端、浪人生に負けるはずない」
「そしたら、駅から大学まで、現役音頭でも歌いながら行くか」
「なんや、その現役音頭って(笑)。まあ、でも、浪人生にプレッシャーかけて、更に点数上積みの効果あるかもな、わはは」


などアホな放談をしてると、前の座席に座っていたおとなしそうな男が声をかけてきた。「君ら、現役かあ。ええなあ。オレ浪人。でも、ホンマに君らの言う通りや。オレも分かってたから、どうしても去年合格しないと、と頑張ったんやけどなあ」。

これにはこっちもいささか慌てて、「これは、どうもヘンな事言いましてすんません」と謝り、「まあ、大学の定員も大勢あるんですから、我々全員受かってもいくらでも空きありますよ、お互いに頑張りましょう」と駅で別れたが、そういえば彼は首尾よく合格しただろうか。昔々のことなのに、毎年この時期になると思い出したりする。

もうひとつ、どうしても忘れられないのは、高校の同級生が試験最初の日の朝、自殺したこと。これは昔、過去日記にも書いたことがある。ショックだったから、試験中の昼休みにこの知らせを聞いた時の事は今でも忘れない。これも毎年、センター試験の話題を聞くと思い出す。

見知らぬ大学の試験会場で、「大学受験は、人生において単なる通過儀礼に過ぎない」、「俺は必ずこれを切り抜ける」、「そして、生きてる限り、絶対に自殺などしないのだ」と、マークシートを塗りつぶしながら、それだけは繰り返し繰り返し考えていた。まだ春とも呼べぬ肌寒い受験の春は慌しく行き過ぎて、たしか彼女の葬式にも行かなかった。むしろ、行ってはいけないような気さえしていたのも、今になれば遠い記憶の残滓に埋もれ、消えかけている心境なのだったが。

まあ、受験生がこのページを読んでるはずもないのだが、この春に、試験を受ける全ての人の幸運と健闘を、心からお祈りしたい。