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2006/11/15 FOX NEWSとビル・オライリー

共和党とブッシュは好きではないが、FOX News Channelは分かりやすいので時折見る。昔から「We report, You decide」と称しているが、このチャンネルは不偏不党の報道というより、明らかに共和党寄り保守偏向の意見開陳のほうにバイアスがかかっている。

しかし、ここが不思議なところだが、例えば、不偏不党の報道が時として八方美人で、平板で印象に残らない場合があるように、偏向しているからこそ、対象に斜めから光を当てるような陰影がつき、深く印象を心に刻まれる場合もある。911後の、無差別テロへの怒りに燃えたアメリカ人の心境にマッチして、近年急速に視聴率を伸ばしたのも、このへんを抜きにしては語れないだろう。先日読んだ、「現代アメリカのキーワード」(中公新書)の「フォックス・ニュース」を扱った項は、この辺りの事情を実に的確に解説している。ま、しかし、中間選挙での共和党敗北を受けて、現政権礼賛、イラク戦争支持の立場は、今後どうなるか興味深い。

Fox News Channelの名物番組に、Bill O'Reillyというオッサンがキャスターを勤める「The O'Reilly Factor」がある。日本のSkyPerfecTVでも一時放送していたが、これもオライリーの意見に賛同するかどうかは別として、なかなか面白い。何事も独断で決めつけ、相手の意見が気に食わないと怒鳴り散らす。イラク戦争については勝つまでやるのだと堂々と述べている。番組の最後視聴者の意見コーナーでも、反対意見は一刀両断で切り捨てる。本人は中立派というが、まあ典型的右派、共和党寄りのキャスター。

この人は以前、セクハラ疑惑で降板したと記憶していた。しかし相手と和解し、降板まで行かずちゃんと番組が続いている。いかにもセクハラしそうなタイプなんだが、なかなかしぶといオッサンである。YouTubeにもいろいろ映像がアップされているが、David Lettermanのショーに出た時など、なかなか面白い。Lettermanは人をおちょくって寸鉄をカマすのが大得意だから、オライリーもだいぶ頭にきたようだ。

大雑把な物言いだが、日本の朝日新聞は、アメリカのいわゆる「リベラル」よりもずっと左寄りである。新聞では、それに対抗して、読売やサンケイは独自のカラーをある程度出しているが、TVではどこもまだ政治的には割と中立の立場。日本でも、FOX Newsみたいなチャンネルができて、ビル・オライリーみたいなオッサンが出てきたら、それはそれで結構面白いのではと俯瞰しているのだが。