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2006/10/09 親愛なる指導者同志はいったい何考えているのか。

北朝鮮は核実験を行ったと発表。すぐに実行するとは、実際ちょっと驚いた。爆発の規模は、TNT換算で1キロトン以下だという報道もあり(広島型原爆で15キロトンという)、フランスの国防相は「実験は失敗だったのかもしれない」と述べている。地震波は確かに観測されているものの、正確な分析にはまだ少々かかるようだ。ひょっとすると、いわゆる「爆縮」に失敗した「未熟爆発」だった可能性もある。

失敗気味の爆発であったかもしれないが、それでもなお、それが核爆弾であったなら、やはりその意味は大きい。イラクには大量破壊兵器はなかった。しかし、北朝鮮は、自ら自国が大量破壊兵器を所有していることを宣言し、そしてそれを自らが証明した事になるのだから。拉致被害家族の記者会見でのコメントもニュースに出ていたが、北朝鮮問題は、もはや拉致問題を遥かに超えて、世界の安全保障に直結する別問題となってきた感がある。世界各国からの非難を予想していなかったはずはない。核実験をやれば米国は更に態度を硬化させるのは当然。経済制裁が解かれる可能性はまた遠ざかる。果たして北朝鮮は何を考えているのか。

核時代が幕を開け、米ソが軍拡競争を繰り広げた時、世界は明日にも核戦争で終わるような観測もなされた。しかし、原子爆弾は、曲がりなりにも60年間に渡って使われていない。ひとつには、相互確証破壊が機能していたからだという説がある。核爆弾は相手に使うと、自国にも致命的な反撃を生む。自らの国も滅亡してしまうような先制攻撃には意味がないという理屈。キューブリック監督の「博士の異常な愛情」や小松左京の「復活の日」にも扱われた話題。

しかし、考えてみると、この概念は、核保有する相手も一応マトモな常識に立脚して物事を考えるはず、という楽観的予測に立脚しているわけであって、これが北朝鮮に通用するだろうか。北朝鮮の指導者同志も、日本に一発落としたら、さすがの米国も経済制裁止めるだろうなどと考えてないだろうな。まあ、自国民の幸福など何も考えていないのは明らかだが、自分の安全と権力の維持だけは朝から晩まで考えているはずで、そこまで愚かではないと信じたいがなあ。