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2006/10/01 「旭屋書店」と「三省堂書店」

Amazonで追加発注した小松左京、「夜が明けたら」「物体O」など読了。「夜が明けたら」は、スリラー系のSF短編集だが、夜の深さと寒さが深々と身にしみてくるような表題作を始め、小品の「真夜中の視聴者」など、どれも印象的。「物体O」は日本沈没の系譜にもつながるパニック・シミュレーション名作短編。「お召し」も最初に読んだ時の心地よい衝撃が再読しても蘇ってくる。どれも日本に残した蔵書の中にあり、今頃は日通の倉庫で残置荷物として眠っているはずだが、再読したくなると無駄とは思えどやはり買ってしまう。

こちらの日本食スーパー、ミツワ内にあった「旭屋書店」が撤退するらしい。以前、西海岸に住んでた時は、San Joseヤオハン内の「三省堂書店」、中西部に引っ越してからは、シカゴ郊外ヤオハン内の「旭屋書店」をずいぶん利用した。スーパー自体は、ヤオハン倒産後事業が買収され、現在は「ミツワ」という名前になっているのだが、本屋は昔と変わらず「旭屋書店」。今回こちらに来てからも、結構重宝していたのだが、やはり業績がかんばしくないのか。日本では、銀座東芝ビルの「旭屋書店」が好きで、毎週のように巡回していた。

アメリカに住んでいても、Amazon.comで日本書籍が自由に発注できて、国際エクスプレス便だと2〜3日で到着。何冊かまとめると発送費入れてだいたい定価の倍くらいかかるのだが、これはアメリカの日本書店と同じような値段。昔と比べると、ネット系の本屋にだいぶ売り上げは食われているだろう。

しかし、すべてAmazonで用が足りるかというと、そんなことはない。やはり本というのは、平積みから手に取り、パラパラと見ないと買うかどうか決められない部分がある。逆に、本文のほんの1〜2行、あるいは後書きの一言、挿絵の一枚、あるいは帯の宣伝文句のひとつなど、ほんの少しでもピンときたらその本は買うべきなのだ。日本では毎年たいへんな数の新刊が出版されるが、そのほとんどは初版だけで消えてゆく。大多数の新刊との出合いはまさに一期一会なのだから。何を買うか決まっている時、あるいはどの関係の本を探したいか決まってる時はAmazonが実に便利なのだが、ブラブラとあてもなく本を探すという楽しみが、ネット書店ではやはりまだ味わえないんのだよなあ。

「旭屋書店」は撤退するのだが、今度は「三省堂書店」が進出すると「ミツワ」内に広告が。NYの三省堂は結構立派な店で、ほとんど日本の中型書店と遜色ない品揃えだったと記憶するが、こちらでも頑張ってほしいものである。