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2006/08/12 宮崎駿は、アメリカに日本アニメのドアを開けないのか。

先週からずっと、気温は華氏70度台と秋の気配。大陸性気候だからなのか、日本よりも季節の移り変わりは1ヶ月くらい早いような。週末は、4マイル32分を目処にランニング。本日の前半は、2マイル16分。しかし後半2マイルは18分とスローダウン。涼しくなってはいるのだが、日本にいる頃に比べると、やはり全体で体力落ちてるのかね。



アニメーション監督、宮崎駿が、アメリカ・アカデミー賞選考会員への就任を辞退したと伝えられたのは先月末だったか。選考委員には、基本的に現会員の欠員が出ない限り新たに選ばれることはないそうで、実に狭き門の、ハリウッド最高の名誉。日本人で会員になったのは、故黒澤を含む3名だけなんだとか。

就任辞退のニュースを聞いた時に思い出したのは、ずっと前に読んだ「インタビューズ」 のサミー・デイビスJr.の言葉。

「僕が入ってきたドアは、僕だけの力で開けたんではない。幾多の黒人の先輩達が、後に続く者の為に、少しづつ、少しづつ開けてきてくれたんだ。だから僕も、自分が開けたドアを、後に来る黒人の為に、少しずつ大きく開けておくように努めてきた。そして、いつかは、すべてのドアが、誰にでも開かれるようにしなければ」
ジャパニメーションと言われるほど、アメリカでもポピュラーになった日本のアニメだが、本家本元のアメリカ映画界に文化全体として受け入れられている訳ではない。宮崎監督が、日本から次に続く者のため、アメリカ映画界にまずドアを開け、そしてそのドアを後進のために開けておいてもらいたかったな、というのが正直な感想。アニメの職人だから、そんな役はできかねると言う理屈はある程度理解できるのだが。

しかし週刊誌の記事で読むと、最近公開したジブリの「ゲド戦記」は、アニメーションの仕事など一度も経験したことのなかった宮崎駿監督の長男が監督しているらしい。 ジブリ・プロダクション社長が、「彼ならできる」と宮崎駿を無理矢理説得して、素人の息子をアニメ監督に据えたのだと。これはしかし、なんだかこう、物言わぬ殿様の真意を慮って、若殿の活躍の場を設け、「実に立派でございます」と褒め称える、よく言えば忠誠心あふれ、悪く言えば「茶坊主」と呼ばれかねない「家老」のやることではないのか。

やはり宮崎には、息子に自分の帝国継承のドアをそ知らぬ顔でそっと開けてやるより、アメリカに才能ある後進を紹介するドアになり、それを維持する仕事をこそやってほしかったという気がするのだが。せっかく世界でも正当に評価されつつあるところなのに。