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2006/07/12 10年ぶりのNY、10年ぶりの「寿司田」 

月曜は朝からNYダウンタウンで会議出席の予定。日曜午後のフライトを予約した時は、W杯決勝の放映時間を失念していた。変更を試みるも、時既に遅く、後の便は満席。1時間ごとのシャトルだから、空港でスタンバイすれば多分大丈夫だろうが、それまた面倒。仕方なく昼過ぎに出発。

フライトは予定通り離陸。水平飛行に入った後で、機長から「W杯決勝は、前半、フランスが1−0でリードしてます」とアナウンス。後方座席で1人だけ拍手した乗客あり。やはりフランス人かね。しかしその後、「1−1の同点となりました」とのアップデイト時には誰も反応がなかった。航空機内でTVの生中継なんか見れるようになると便利だがなあ。スーパーボウルを機中で観戦できたら大騒ぎだろう。

LGAに降り立つのもほぼ10年ぶり。タクシーでミッドタウンへ。インド・パキスタン系と思しい若い運転手は、何語か知らないがずっとヘッドセットの携帯でしゃべり続けており、左手で小銭をジャラジャラ、右手だけで運転。マンハッッタンでレンタカーを運転する気はしないが、タクシー乗るのもこれまた怖いもんである。アメリカの大都市でタクシーに乗ると、いつもながら日本のタクシーがいかに快適で安全か再認識する。そのぶん値段も高いが。道は空いており、ホテルまではスイスイと。

チェックインして部屋でメールを取り、積み残しの仕事など。ネットの進展で世界は便利になった。しかし、PCさえあれば仕事がどこまでも追いかけてくるようになったのもまた面倒な話で。



夜は、「寿司田マディソアヴェニュー店」。10年前にも一度来たはずだが、こっちの店だったかな。お酒は「酔鯨」の冷酒。1合しないようなグラスで一杯10ドル。

最初にツマミ、まずお勧めの白身、コチの薄造りをポン酢で。脂にある独特の軽い癖が旨味。身はしっかりして悪くない。九州産というアジとサバ。アジはよく脂が乗り旨味もあり。サバは酢〆だが、よく脂が乗り身もしっとり柔らかい。アメリカで食した中では出色の出来だが、やはりやや鮮度が気になる。

ミル貝を。とはいっても本ミルではなくアメリカ産。こちらではどこでも置いてあるデカイ貝だが、もともと生臭味があるのが難。しかしこちらの水準に比べると鮮度よく歯応えも悪くない。職人さんと雑談するに、アメリカには2枚貝は輸入禁止で日本の赤貝もトリ貝もミル貝も、まったく入手できないとか。貝が噛んでいる砂が、「土壌の輸入」に該当して検疫上ダメなんだという理屈らしい。なるほど、これは知らなかった。

米国産ミル貝のヒモと〆サバを炙って。これはなかなかいける。このへんで握りに移行。中トロ、赤身ヅケ。煮切りを塗ってくるのが食べやすくてよろしい。隣のアメリカ人は煮切り塗ったのをまたドッブリと醤油につけているのだが。ただ、酢飯は柔らかく、酢が利いておらず、そして甘い。まあ、これは日本の「寿司田」チエインでもみんな同じか。

ヒラメと甘鯛昆布〆。アナゴは、1貫を割って塩とツメと半分づつ。こっちに来てから握りでアナゴ食べたのは初めて。日本から持ってきているはずだが、一番脂が乗る季節だけあってふっくらとした煮上げでなかなか結構。最後は中トロで鉄火巻き。その他にも適当に頼んで、チップ入れると勘定は160ドル。まあ、やはり日本から持ってくるコストというものがかかる。質については、アメリカ一等地への出店でもあり、おそらく成田空港の「寿司田」より良い物を置いていると思うが、日本からの距離はいかんともしがたい。職人はよく教育されており、着物着た女性のサービスも大変よい。勘定が決して高いとは思わないが、日本での寿司屋巡回を思い出すと、何かこう妙な焦燥感と乾きのようなものも感じるわけであった。いまや寿司はNYのほうが美味いなんてヨタ話も聞いたことがあるが、そんな事言ったのはどこのどいつだとの感慨あり。それとも、探せばもっと素晴らしい場所があるのだろうか。もっとも、メリケンの映画スターが行くジャパニーズ・レストランなど、ロクなもんじゃないとも思うのだが。

月曜は朝8時半から会議。昼過ぎに終了。しかし、夜は戻って会食の予定がある。早々と退散して、LGAまでタクシー。空港で確認すると1本早いのにまだ空きがある。25ドル払ってフライトを早いのに変更。離陸が東部時間午後3時。結局のところ24時間も滞在しなかったあわただしいNY。今度は休みに美術館巡りでも、のんびり訪問したいと思うのであった。