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2005/05/22 「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」とマックス・クリンガー

土曜日午後はぶらっと外出。思いついて、上野の西洋美術館の「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」まで。入場券購入の窓口では、「ここはゴッホ展の近代美術館ではないんですか?」とオロオロ聞くオバちゃんあり。残念ながら場所が違うんですなあ。これは時間かかるぞと思ってたら、間違えて来る人が大勢いるらしく、上野から近代美術館への行き方をコピーした紙を渡している。係員の説明も慣れたもの。

有名な「ダイヤのエースを持ついかさま師」は、ルーブルで見たことがある。ルーブルはガランとして、この絵の前にもたいして立ち止まる人はいなかったのだが、模写している画学生がおり、試みに模写と本物を同じフレームに収めたのが左の写真。なかなかよく摸してあるものではないか。真ん中のオバちゃんの陰険な目つきが印象的なんだよなあ。パリで見た絵と再び日本で再会するというのも懐かしい不思議な気分。ラ・トゥールという画家の真作には散逸しているものが多く、この展示会でも模写がたくさん展示されているのだが、どこまで真作を再現しているのか興味深い。

「ラ・トゥール展」のあとは常設展示をブラブラ。時折立ち寄るから、どこに何があるかはほとんど覚えている。「サル顔のキリスト」、「どうみてもチーズバーガー食べてるとしか思えない最後の晩餐」(以上、勝手に命名)など、松方コレクションは宗教画が奇妙で面白い。常設展の片隅で「マックス・クリンガー版画展」というのも行われていたのだが、これがよかった。クリンガーは、ドイツの彫刻・版画家。いわゆるSymbolistの系譜だが、宗教、神話に題材を採りつつ、幻想と現実が交錯するシニカルなタッチで社会と人間を描いている。山道の終わりに虎が待つ「第一の未来」、ケルビムが守るエデンの門からの楽園追放など印象的。

なかなか気に入ったので、ネットでも作品を検索。サンフランシスコ美術館のページにも結構作品が紹介されている。ウィリアム・ブレイクの版画やギュスターブ・モローなど思い出した。