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2005/01/10 雅子妃の憂鬱と皇太子の約束

喉の調子はいまひとつ。微熱もある。本日は部屋でのんびり休養。今月号の「文藝春秋」掲載の「皇太子と雅子妃お二人だけの覚悟」なる記事を読む。まあ、しかし、不倫だ離婚だと賑やかなイギリス王室に比べれば、日本の皇室というのは実におとなしく真面目なもんである。

昨年、皇太子が行った「人格否定」発言は皇室内にも波紋を呼んだ。秋篠宮の皇太子批判、天皇の「私にも分かりかねる部分が」など、日本の皇室の常識ではマレにみる不協和音なのかもしれないが、所詮コップの中の嵐で大したことはない。昭和天皇の喪に服する期間に「どうしても結婚する」とワガママ通した弟宮が「公務うんぬん」を言うのも、大して責任のない気楽な立場ならではというか。

天皇の「分かりかねる」発言についても、これは本当に分からないのであろう。皇后陛下も秋篠宮妃も、社会に出て働いた経験など無く、ただ結婚するのを待っていたような立場。では、皇太子妃はどうだったか。

外交官の家に生まれ海外生活が長く、ハーバード大学卒業後、東大法学部に学士入学。外交官試験に合格して外務省入りし、オクスフォード大学留学と外交官のキャリアを積み重ねていた。皇太子とは付き合ったこともなく、一方的に見そめられただけで相手に愛情を感じていた訳もなかろう。当初から結婚を断り続けていたのに、父親や外務省の上層部から、「外交官としてお国につくすのも、皇室外交でお国につくすのも一緒」となだめすかされ、説得されて結婚に同意したのである。ところが皇太子妃になったら、「外国訪問などとんでもない、早く子供を作りなさい」と宮内庁から圧力。これではまるで詐欺である。

結婚会見で雅子妃は、「殿下に幸せになっていただくために」と述べた。彼女がその時点で何をあきらめたか。そして何に人生を捧げようと決意したのか。社会に出たこともない天皇陛下にも皇后陛下にも、そして秋篠宮にも秋篠宮妃にも、きっと理解できないに違いない。唯一、理解する責任があるのは皇太子殿下であって、皇太子の「人格否定」発言は、結婚時の「全力でお守りします」という約束を果たすための彼なりの精一杯の努力である。そして、結局のところ因習深い皇室と「ことなかれ主義」の宮内庁の壁に阻まれ、皇太子の「約束」が守られないとしたら、雅子妃の憂鬱はさらに進行して行くことになるのではないだろうか。気の毒に。